脳表ヘモジデリン沈着症

脳表ヘモジデリン沈着症はまれな疾患であるが, 進行すれば著しい難聴, 視力喪失, 小脳失調さらには痴呆をきたし, 患者のQOLは著しく低下する. 一方, 最近になって特徴的なMRI所見によって早期診断が可能となり, 症例によっては治療で進行を止めることが可能である. ここでは, これまで報告された日本人の35例を総括し, 本疾患の臨床的特徴を明らかにし, 典型的な症例の病理所見を提示する. 本疾患の初発症状は聴力低下, 不安定な歩行などであるが, これらの症状は耳鼻科, 神経内科領域ではまれなものではないこと, 脊髄小脳変性症などと診断されて長期観察された症例もあったことから考えて, 本症につ...

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Published in医療 Vol. 55; no. 6; pp. 259 - 265
Main Authors 西山, 浩介, 桂木, 正一, 中村, 政明, 前田, 亜紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 2001
国立医療学会
Subjects
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.55.259

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Summary:脳表ヘモジデリン沈着症はまれな疾患であるが, 進行すれば著しい難聴, 視力喪失, 小脳失調さらには痴呆をきたし, 患者のQOLは著しく低下する. 一方, 最近になって特徴的なMRI所見によって早期診断が可能となり, 症例によっては治療で進行を止めることが可能である. ここでは, これまで報告された日本人の35例を総括し, 本疾患の臨床的特徴を明らかにし, 典型的な症例の病理所見を提示する. 本疾患の初発症状は聴力低下, 不安定な歩行などであるが, これらの症状は耳鼻科, 神経内科領域ではまれなものではないこと, 脊髄小脳変性症などと診断されて長期観察された症例もあったことから考えて, 本症についての知識を持って診療を行わなければ, 早期発見と早期治療の機会は失われることになる. 今後, さらにこの病気の存在に関心が向けられることが必要である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.55.259