亜鉛の生理機能を司る亜鉛トランスポーター

生体内亜鉛ホメオスタシスに関する分子レベルの研究は,重金属毒性に対するメタロチオネインの解毒作用に関する解析から進展してきた.90年代後半に動物細胞において初めて亜鉛トランスポーターが発見されたのを契機にして,亜鉛研究は急速に展開し,その結果,様々な亜鉛の新規生理機能が発見されてきている.亜鉛の生理作用は,亜鉛トランスポーターと密接に関連しており,亜鉛トランスポーターの機能の破綻は,初期発生,免疫応答といった生命活動の基礎となる現象だけでなく,アルツハイマー病,糖尿病,ガンの発症といった病態にも結びつく.ここでは,亜鉛トランスポーターの分子機能・亜鉛ホメオスタシスの制御機構について詳しく解説し...

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Published in化学と生物 Vol. 47; no. 8; pp. 545 - 552
Main Author 神戸, 大朋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 01.08.2009
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ISSN0453-073X
1883-6852
DOI10.1271/kagakutoseibutsu.47.545

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Summary:生体内亜鉛ホメオスタシスに関する分子レベルの研究は,重金属毒性に対するメタロチオネインの解毒作用に関する解析から進展してきた.90年代後半に動物細胞において初めて亜鉛トランスポーターが発見されたのを契機にして,亜鉛研究は急速に展開し,その結果,様々な亜鉛の新規生理機能が発見されてきている.亜鉛の生理作用は,亜鉛トランスポーターと密接に関連しており,亜鉛トランスポーターの機能の破綻は,初期発生,免疫応答といった生命活動の基礎となる現象だけでなく,アルツハイマー病,糖尿病,ガンの発症といった病態にも結びつく.ここでは,亜鉛トランスポーターの分子機能・亜鉛ホメオスタシスの制御機構について詳しく解説したい.なお,栄養学的側面から見た亜鉛の効能や亜鉛の生理機能に関しては,様々な総説で詳しく紹介されており,そちらを参照されたい(1,2).
ISSN:0453-073X
1883-6852
DOI:10.1271/kagakutoseibutsu.47.545