発見までに数年を経過した気管支内異物の 1 例

12歳男児の気管支内異物の1例を報告する。咳嗽・喀痰・労作時息切れを主訴とし, 10カ月・6歳および7歳時に肺炎の既往を有する。気管支鏡検査で, 左底幹入口部に異物を認めた。左肺は, 下葉が無気肺となっており, 上下葉とも気管支の拡張性変化が強いため, 左肺全摘術を施行した。異物は直径8mm・長さ15mmのプラスチック製品で, 発育に伴う正常気管支径の増大と異物の大きさとの関係, および症状の経過などから, 吸引時期は8歳ころで, 少なくとも4年の経過を有するものと推定した。気管支内異物は, その嵌頓部末梢側に気管支拡張を併発しやすいが, 本症例では, 異物が左底幹入口部に存在していたにもかか...

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Published in気管支学 Vol. 10; no. 2; pp. 206 - 211
Main Authors 藤島, 卓哉, 本田, 泰人, 五十嵐, 知文, 平沢, 路生, 原田, 尚雄, 片岡, 賢治, 菅原, 洋行, 浅川, 三男, 鈴木, 明, 草島, 勝之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1988
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Summary:12歳男児の気管支内異物の1例を報告する。咳嗽・喀痰・労作時息切れを主訴とし, 10カ月・6歳および7歳時に肺炎の既往を有する。気管支鏡検査で, 左底幹入口部に異物を認めた。左肺は, 下葉が無気肺となっており, 上下葉とも気管支の拡張性変化が強いため, 左肺全摘術を施行した。異物は直径8mm・長さ15mmのプラスチック製品で, 発育に伴う正常気管支径の増大と異物の大きさとの関係, および症状の経過などから, 吸引時期は8歳ころで, 少なくとも4年の経過を有するものと推定した。気管支内異物は, その嵌頓部末梢側に気管支拡張を併発しやすいが, 本症例では, 異物が左底幹入口部に存在していたにもかかわらず, 左上葉にも気管支拡張が認められた。この成因についていくつかの機序を考察した。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.10.2_206