長期介在気管支異物の 1 例

31年間にわたり気管支内に存在した異物の1例を経験したので報告する。症例は40歳の男性。数回の肺炎の既往を有していた。今回血痰をきたし, 胸部X線写真上, 右下肺野の異常線状影とその末梢肺野の透過性亢進を認め, さらに断層像で中間気管支幹の閉塞を認めたため, 直ちに気管支鏡検査を施行され異物を発見された。異物は小学生のとき誤嚥したプラスチック製の鉛筆のキャップで, 中間気管支幹の白色調の肉芽の末梢に先端を肺底部に向けて嵌頓していた。気管支ファイバースコープ下での摘出が困難であったため, 全麻下にventilation bronchoscopeにより摘出された。術前および術後3ヵ月目の肺換気血流...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 14; no. 7; pp. 661 - 666
Main Authors 中村, 洋, 中西, 敬, 松本, 常男, 野村, 敏, 由水, 多津子, 有吉, 功, 三浦, 剛史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1992
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.14.7_661

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Summary:31年間にわたり気管支内に存在した異物の1例を経験したので報告する。症例は40歳の男性。数回の肺炎の既往を有していた。今回血痰をきたし, 胸部X線写真上, 右下肺野の異常線状影とその末梢肺野の透過性亢進を認め, さらに断層像で中間気管支幹の閉塞を認めたため, 直ちに気管支鏡検査を施行され異物を発見された。異物は小学生のとき誤嚥したプラスチック製の鉛筆のキャップで, 中間気管支幹の白色調の肉芽の末梢に先端を肺底部に向けて嵌頓していた。気管支ファイバースコープ下での摘出が困難であったため, 全麻下にventilation bronchoscopeにより摘出された。術前および術後3ヵ月目の肺換気血流シンチグラフィでは, ともに右下肺野の集積低下を認め, これは異物の長期介在により形成された炎症性肉芽による換気, 血流不全と考えられた。長期介在異物では摘出後も肺障害の有無の観察が必要であり, 肺換気血流シンチグラフィはその経過観察に有用であると考えられた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.14.7_661