HTLV-1感染に伴い産生される抗体と末梢血中のプロウイルス量の解析
HTLV-1感染陽性と診断され,HTLV-1感染者コホート共同研究班(JSPFAD)に登録された675例を対象として,プロウイルス量(PVL)の定量と抗体検出系の各固相化抗原に対する反応性について解析を行った.無症候性HTLV-1キャリア(AC)604例について,PVLにより5群に分類してPA抗体価を比較したところ,PVL上昇に伴って抗体価は上昇を示すことから,抗体価はATL発症予測因子のひとつであるPVLを反映し,発症高危険群抽出の指標となり得る可能性が示唆された.さらに,AC604例のうち,PVLが検出限界以下の49例(8.1%)全例でHTLV-1構造蛋白質との結合が視認される特異抗体が観...
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Published in | 日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 60; no. 6; pp. 592 - 599 |
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Main Authors | , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
2014
日本輸血・細胞治療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 1881-3011 1883-0625 |
DOI | 10.3925/jjtc.60.592 |
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Summary: | HTLV-1感染陽性と診断され,HTLV-1感染者コホート共同研究班(JSPFAD)に登録された675例を対象として,プロウイルス量(PVL)の定量と抗体検出系の各固相化抗原に対する反応性について解析を行った.無症候性HTLV-1キャリア(AC)604例について,PVLにより5群に分類してPA抗体価を比較したところ,PVL上昇に伴って抗体価は上昇を示すことから,抗体価はATL発症予測因子のひとつであるPVLを反映し,発症高危険群抽出の指標となり得る可能性が示唆された.さらに,AC604例のうち,PVLが検出限界以下の49例(8.1%)全例でHTLV-1構造蛋白質との結合が視認される特異抗体が観察され,長期にわたり複数回採血され,PVLが検出限界値近傍を呈する同一人の事例でも,継続的な抗体産生が認められた.一方,ATL発症者においても,治療によって完全寛解に導入されPVLが検出限界以下を示した場合でも特異抗体は消失しなかった.これらのことからPVを検出できないHTLV-1持続感染者の存在が確認され,核酸検査とともに精度のよい抗体検出系がHTLV-1感染者の判定に必要であることが示された. |
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ISSN: | 1881-3011 1883-0625 |
DOI: | 10.3925/jjtc.60.592 |