腹壁瘢痕ヘルニアに対するメッシュを用いた腹腔鏡下手術

「はじめに」腹壁瘢痕ヘルニアは腹部手術創が脆弱になることにより腹腔内臓器が脱出するもので, 腹部手術後の11%以上に, また創部の感染を起こした症例では約20%以上に認められる. 症状としては疼痛や違和感, 嵌頓した場合は腸閉塞や血流障害などを引き起こすことがあり外科治療が推奨される. 以前はヘルニア門の縫縮のみが行われ12~54%の再発を認めていたが, メッシュを用いたいわゆるtension-free修復術導入後の再発率は2~36%と報告されており, 現在は後者が標準治療と考えられている. 腹腔鏡下での腹壁瘢痕ヘルニア修復術は1993年にLeBlancらが最初に報告し, 現在は欧米では多くの...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 11; no. 1; pp. 16 - 19
Main Authors 中村, 慶春, 野村, 務, 松谷, 毅, 藤田, 逸郎, 金沢, 義一, 進士, 誠一, 内田, 英二, 古木, 裕康, 萩原, 信敏, 増田, 寛喜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2015
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.11.16

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Summary:「はじめに」腹壁瘢痕ヘルニアは腹部手術創が脆弱になることにより腹腔内臓器が脱出するもので, 腹部手術後の11%以上に, また創部の感染を起こした症例では約20%以上に認められる. 症状としては疼痛や違和感, 嵌頓した場合は腸閉塞や血流障害などを引き起こすことがあり外科治療が推奨される. 以前はヘルニア門の縫縮のみが行われ12~54%の再発を認めていたが, メッシュを用いたいわゆるtension-free修復術導入後の再発率は2~36%と報告されており, 現在は後者が標準治療と考えられている. 腹腔鏡下での腹壁瘢痕ヘルニア修復術は1993年にLeBlancらが最初に報告し, 現在は欧米では多くの施設で行われているが, 本邦ではまだ一般的な治療法とは言い難い状況である. 本報告では本術式を紹介するとともに当施設における治療経験を報告する. 「手術の実際」「(1) 手術適応」腹壁瘢痕ヘルニアを認める症例のうち全身麻酔および気腹が可能な場合は原則全例手術適応となり得るが, 腎臓摘出後の症例など側腹部にヘルニア門がある症例, ヘルニア門が巨大で腹壁が欠損しているような症例は適応としていない.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.11.16