無気肺に対するラリンジアルマスクを用いた内視鏡的喀痰吸引法の試み : 非挿管の ICU 入室症例への応用

ICUに入室対象となる症例は呼吸循環の予備力が低下しており, 内視鏡的に喀痰を吸引する場合に発生する低酸素血症や不整脈, 高血圧などの循環変動は特に危険である。安全性を高めるために, 従来は全身麻酔下に一時的に気管内挿管をして呼吸管理を行いつつ内視鏡操作を施行してきた。しかし気管内挿管はそれ自体, 循環変動に行うことは困難であり, さらに内視鏡操作の障害になりやすいこと, 内視鏡操作中の気道抵抗が増大するなどの欠点もあった。最近全身麻酔の呼吸管理に応用されはじめたラリンジアルマスクは調節呼吸が可能な新しいタイプのエアウェイで, 直接気管内に挿入されないことから挿入時の循環変動はより少なく, ま...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 13; no. 3; pp. 325 - 329
Main Authors 八田, 誠, 河口, 治彦, 高須, 宏江, 間渕, 則文, 石川, 茂樹, 伊藤, 彰師
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1991
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.13.3_325

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Summary:ICUに入室対象となる症例は呼吸循環の予備力が低下しており, 内視鏡的に喀痰を吸引する場合に発生する低酸素血症や不整脈, 高血圧などの循環変動は特に危険である。安全性を高めるために, 従来は全身麻酔下に一時的に気管内挿管をして呼吸管理を行いつつ内視鏡操作を施行してきた。しかし気管内挿管はそれ自体, 循環変動に行うことは困難であり, さらに内視鏡操作の障害になりやすいこと, 内視鏡操作中の気道抵抗が増大するなどの欠点もあった。最近全身麻酔の呼吸管理に応用されはじめたラリンジアルマスクは調節呼吸が可能な新しいタイプのエアウェイで, 直接気管内に挿入されないことから挿入時の循環変動はより少なく, またチューブ部分の内径が太く全長も短いために内視鏡操作はより円滑で術中の換気も容易であるなどの利点がある。今回, ラリンジアルマスクを用いて3名のICU入室患者の内視鏡的喀痰吸引を試み, 良好な呼吸循環管理下に円滑な内視鏡操作を行うことが可能であった。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.13.3_325