心房細動における抗血栓療法―良好なワルファリンコントロールの重要性

「I. はじめに」心房細動(AF)の重大な合併症といえる心原性脳塞栓症は, 大梗塞であることが多くしばしば致死的で, 救命はし得ても重篤な後遺症を残し寝たきりになることも少なくはない. これを予防することは, AF患者の生命予後改善ならびにQOLを保つうえできわめて重要である. 日本人の非弁膜症性AF(NVAF)例を対象としたJapan atrial fibrillation stroke trial(JAST研究)は, アスピリンを比較的ローリスクのAF症例に投与しても脳梗塞予防効果はなく, かえって重篤な出血性合併症を引き起こす結果になることを示した1). また, 海外で行われたActiv...

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Published in心電図 Vol. 29; no. 5; pp. 350 - 354
Main Author 是恒, 之宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 2009
日本心電学会
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.29.350

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Summary:「I. はじめに」心房細動(AF)の重大な合併症といえる心原性脳塞栓症は, 大梗塞であることが多くしばしば致死的で, 救命はし得ても重篤な後遺症を残し寝たきりになることも少なくはない. これを予防することは, AF患者の生命予後改善ならびにQOLを保つうえできわめて重要である. 日本人の非弁膜症性AF(NVAF)例を対象としたJapan atrial fibrillation stroke trial(JAST研究)は, アスピリンを比較的ローリスクのAF症例に投与しても脳梗塞予防効果はなく, かえって重篤な出血性合併症を引き起こす結果になることを示した1). また, 海外で行われたActive W研究によると非弁膜症性AF症例に対しアスピリンとクロピドグレルを併用投与しても, ワルファリンの脳梗塞予防効果には及ばないことが示された2). NVAFにおける抗血小板薬の脳梗塞予防効果を示した研究結果は少なく, メタ解析を行うとその効果が示されるが予防効果は21%と低い.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.29.350