食道運動障害の診断

「はじめに」「つかえ感」, 「胸痛」を訴えるにもかかわらず, 上部消化管内視鏡検査, 食道造影検査, 循環器系の検査において明らかな異常が認められない場合には「気のせい」として経過観察されていることが多い. しかし, これらの患者に対し食道運動機能検査である食道内圧検査を施行すると, 約75%の患者に何らかの食道運動障害が認められることから, 食道運動障害は決してまれな疾患ではない1,2. 「正常な食道運動機能」食道運動障害を理解する上でまず重要なことは, 正常な食道運動を理解することである. 健常者では, 嚥下に伴い食道上部より一次蠕動波が出現し, また同時に下部食道括約筋(LES)の弛緩が...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 5; no. 4; pp. 202 - 206
Main Authors 田中, 由理子, 琴寄, 誠, 星原, 芳雄, 梅澤, まり子, 佐野, 弘仁, 川見, 典之, 坂本, 長逸, 岩切, 勝彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2009
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.5.202

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Summary:「はじめに」「つかえ感」, 「胸痛」を訴えるにもかかわらず, 上部消化管内視鏡検査, 食道造影検査, 循環器系の検査において明らかな異常が認められない場合には「気のせい」として経過観察されていることが多い. しかし, これらの患者に対し食道運動機能検査である食道内圧検査を施行すると, 約75%の患者に何らかの食道運動障害が認められることから, 食道運動障害は決してまれな疾患ではない1,2. 「正常な食道運動機能」食道運動障害を理解する上でまず重要なことは, 正常な食道運動を理解することである. 健常者では, 嚥下に伴い食道上部より一次蠕動波が出現し, また同時に下部食道括約筋(LES)の弛緩が起こる. 一次蠕動波がLESに到達すると, LES弛緩が終了する. その後, LESは15~20mmHgの収縮圧で胃内容物の逆流を防止している. すなわち, 食道運動は食道体部運動とLES運動に分類される.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.5.202