心臓カテーテル後に発症したコレステロール塞栓症の3例

心臓カテーテル検査を契機に発症したコレステロール塞栓症3例を経験した. 症例はいずれも60歳以上の男性で, 冠危険因子を有し高度の冠動脈硬化をともなっていた. 2例は診断カテーテル後に, 1例は冠動脈形成術後で, 3例共に右大腿動脈からのアプローチであった. 1例は下肢末梢の皮膚, 虚血症状が主で, 早期よりステロイドホルモンを使用した. 趾の切断を要したが, 健在で外来通院中である, 1例は進行性の腎不全が主で, ステロイドホルモンの使用により, 腎機能の増悪は抑制されたが, 急性心筋梗塞により死亡した. 1例はステロイドの早期使用により腎機能は, 著明に改善し, 外来通院中である. コレス...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 57; no. 3; pp. 208 - 213
Main Authors 白木, 照夫, 秋田, 光洋, 園山, 隆之, 喜多, 雅英, 室山, 良介, 尾上, 豪, 水野, 修, 高村, 俊行, 岡, 岳文, 梶山, 晃雄, 斎藤, 大治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 2003
国立医療学会
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:心臓カテーテル検査を契機に発症したコレステロール塞栓症3例を経験した. 症例はいずれも60歳以上の男性で, 冠危険因子を有し高度の冠動脈硬化をともなっていた. 2例は診断カテーテル後に, 1例は冠動脈形成術後で, 3例共に右大腿動脈からのアプローチであった. 1例は下肢末梢の皮膚, 虚血症状が主で, 早期よりステロイドホルモンを使用した. 趾の切断を要したが, 健在で外来通院中である, 1例は進行性の腎不全が主で, ステロイドホルモンの使用により, 腎機能の増悪は抑制されたが, 急性心筋梗塞により死亡した. 1例はステロイドの早期使用により腎機能は, 著明に改善し, 外来通院中である. コレステロール塞栓症は, 定型的な治療法がないため予後不良な疾患だが, 早期の治療開始により, 予後を改善する可能性がある. また, 動脈硬化の強い胸腹部大動脈の硬化巣を避けるアプローチをとることも予防法として重要と考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.57.208