セミインタクト細胞リシール法を用いた「病態モデル細胞」作製とその疾患研究への応用

正常および病態の網羅的マイクロアレイ解析やプロテオーム解析が進み,多数の疾患関連遺伝子やタンパク質が抽出され,その細胞内機能や病態との関連が遺伝子改変マウスなどを用い盛んに研究されようとしている.しかし,その網羅的解析によって抽出される遺伝子・タンパク質の数は膨大であり,創薬・診断研究の現場では,動物個体を使用した前臨床研究におけるコストと時間のパフォーマンスの増大のため,リード化合物のスクリーニングやその副作用・作用機序研究における「細胞アッセイ」の重要性はますます増大してきている.しかし,現行の細胞アッセイの多くは「正常細胞」を使用したものであり,「病態環境」における細胞機能のかく乱の分子...

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Published in化学と生物 Vol. 50; no. 7; pp. 510 - 517
Main Authors 村田, 昌之, 加納, ふみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本農芸化学会 01.07.2012
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Summary:正常および病態の網羅的マイクロアレイ解析やプロテオーム解析が進み,多数の疾患関連遺伝子やタンパク質が抽出され,その細胞内機能や病態との関連が遺伝子改変マウスなどを用い盛んに研究されようとしている.しかし,その網羅的解析によって抽出される遺伝子・タンパク質の数は膨大であり,創薬・診断研究の現場では,動物個体を使用した前臨床研究におけるコストと時間のパフォーマンスの増大のため,リード化合物のスクリーニングやその副作用・作用機序研究における「細胞アッセイ」の重要性はますます増大してきている.しかし,現行の細胞アッセイの多くは「正常細胞」を使用したものであり,「病態環境」における細胞機能のかく乱の分子解析や,病態状態を示す細胞を利用した創薬スクリーニングを実践することが難しいのが現状である.本総説では,この「病態環境」を再現した細胞アッセイ系として,セミインタクト細胞リシール法を用いて作製した「病態モデル細胞」とその利用法を紹介するとともに,この誕生したばかりのツールの利点と,その克服すべき問題点と今後の展望について概説する.
ISSN:0453-073X
1883-6852
DOI:10.1271/kagakutoseibutsu.50.510