急性骨髄性白血病における化学療法後の好中球減少症に対するG-CSF投与の効果
G-CSFが臨床で広く使用されるようになり, 白血病, 悪性リンパ腫をはじめとする悪性腫瘍に対してより強力な化学療法を行うことが可能となった. しかし, 一方でG-CSFが急性骨髄性白血病細胞の増殖に与える影響にっいて危惧されている. そこで, われわれは, 急性骨髄性白血病(AML)の寛解導入療法後の好中球減少症に対してG-CSFを投与し, 本剤の有効性, 安全性, 奏効率・生存期間に与える影響について検討した. 対象は, 1993年5月から1995年4月までに登録された15-69歳のAML初回寛解導入療法施行例51例(G-CSF投与例: 32例, 非投与例: 19例)である. 奏効率, 生...
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Published in | 医療 Vol. 57; no. 6; pp. 420 - 425 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 国立医療学会
2003
国立医療学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0021-1699 1884-8729 |
DOI | 10.11261/iryo1946.57.420 |
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Summary: | G-CSFが臨床で広く使用されるようになり, 白血病, 悪性リンパ腫をはじめとする悪性腫瘍に対してより強力な化学療法を行うことが可能となった. しかし, 一方でG-CSFが急性骨髄性白血病細胞の増殖に与える影響にっいて危惧されている. そこで, われわれは, 急性骨髄性白血病(AML)の寛解導入療法後の好中球減少症に対してG-CSFを投与し, 本剤の有効性, 安全性, 奏効率・生存期間に与える影響について検討した. 対象は, 1993年5月から1995年4月までに登録された15-69歳のAML初回寛解導入療法施行例51例(G-CSF投与例: 32例, 非投与例: 19例)である. 奏効率, 生存率, 無病生存率においてG-CSF投与例, 非投与例間に有意差はなかった. 好中球が1000/μ1に回復するまでに要した日数の比較では, G-CSF投与例: 7日(3-19日), 非投与例: 15日(3-31日)とG-CSF投与例の方が有意に短かった(p<0.01). 以上よりG-CSFはAMLの予後に悪影響をおよぼすことなく寛解導入療法後の好中球減少症に 対して有用であることが示唆された. |
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ISSN: | 0021-1699 1884-8729 |
DOI: | 10.11261/iryo1946.57.420 |