6. 空間識とスポーツ医学
「はじめに」スポーツと医学の接点がスポーツ医学である. その内容は, スポーツにより生じた外傷や障害の治療・リハビリテーション・予防, スポーツを安全かつ効率よく行うための栄養管理や代謝・心肺機能の研究, スポーツの競技力向上を目指した医学的な筋力トレーニング法の開発など多岐にわたる. しかし, 忘れてはならないのは感覚という観点である. 特に視覚, 前庭感覚, 体性感覚により形成される空間識はあらゆるスポーツにおいて必要不可欠な機能である. 例えば, 体操や水泳の飛込みでは跳躍や回転中に上下すなわち重力方向を正しく認識出来なければ着地や着水に失敗する. 野球では, 自己とボールの位置や運動を...
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Published in | Equilibrium Research Vol. 76; no. 2; pp. 49 - 56 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本めまい平衡医学会
2017
日本めまい平衡医学会 |
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ISSN | 0385-5716 1882-577X |
DOI | 10.3757/jser.76.49 |
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Summary: | 「はじめに」スポーツと医学の接点がスポーツ医学である. その内容は, スポーツにより生じた外傷や障害の治療・リハビリテーション・予防, スポーツを安全かつ効率よく行うための栄養管理や代謝・心肺機能の研究, スポーツの競技力向上を目指した医学的な筋力トレーニング法の開発など多岐にわたる. しかし, 忘れてはならないのは感覚という観点である. 特に視覚, 前庭感覚, 体性感覚により形成される空間識はあらゆるスポーツにおいて必要不可欠な機能である. 例えば, 体操や水泳の飛込みでは跳躍や回転中に上下すなわち重力方向を正しく認識出来なければ着地や着水に失敗する. 野球では, 自己とボールの位置や運動を正確に捉えられなければ打者はボールを打てない. また, 野手は走りながらフライを捕球出来ない. このように, スポーツの競技レベルが高くなるほどより優れた空間識が要求される. その意味で, トップアスリートは空間識の研究対象として理想的である. |
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ISSN: | 0385-5716 1882-577X |
DOI: | 10.3757/jser.76.49 |