骨髄異形成症候群 (前白血病)
骨髄異形成症候群(Myelodysplastic syndromes, MDS)は造血幹細胞の腫瘍である. 骨髄は形態異常(異形成), 成熟不全を示す腫瘍性造血細胞で占められ, 正常血球は減少する. 病初期には芽球は少ないが, 後に芽球が増加を始め, 急性白血病様となる. 最近の疫学調査では成人の骨髄腫瘍中最多であり, 多くの研究にもかかわらず, 未だ有用な治療法は確立されていない1-4. MDS芽球の生物学的性質には不明な部分が多い. 筆者は幹細胞を含む未熟な細胞を分離する研究用試薬(Blastretriever試薬)を開発し(http://www. jimro. co. jp), これによ...
Saved in:
Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 1; pp. 2 - 3 |
---|---|
Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2003
|
Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 1347-3409 |
DOI | 10.1272/jnms.70.2 |
Cover
Summary: | 骨髄異形成症候群(Myelodysplastic syndromes, MDS)は造血幹細胞の腫瘍である. 骨髄は形態異常(異形成), 成熟不全を示す腫瘍性造血細胞で占められ, 正常血球は減少する. 病初期には芽球は少ないが, 後に芽球が増加を始め, 急性白血病様となる. 最近の疫学調査では成人の骨髄腫瘍中最多であり, 多くの研究にもかかわらず, 未だ有用な治療法は確立されていない1-4. MDS芽球の生物学的性質には不明な部分が多い. 筆者は幹細胞を含む未熟な細胞を分離する研究用試薬(Blastretriever試薬)を開発し(http://www. jimro. co. jp), これによってMDS芽球の分取, 解析が容易となった5. 今後, MDSの病態生理の解明, 治療法開発に大きな展開が期待される. 図1 MDS骨髄所見の経時的変化. (A)初診時:異形成を示す種々の成熟段階の造血細胞を認める. 赤矢印は赤芽球を黒矢印は成熟好中球を示す. (B)診断後14ヵ月後:赤芽球は著減し成熟好中球も減少. (C)診断後15ヵ月:芽球(矢印)比率の増加が明確となる. (D)診断後16ヵ月:芽球が大部分を占める(急性白血病様). 通常の急性白血病(de novo急性白血病)に比べ, MDSから進展した白血病は治療抵抗性のことが多い. |
---|---|
ISSN: | 1345-4676 1347-3409 |
DOI: | 10.1272/jnms.70.2 |