急性化膿性胆管炎5症例の臨床病理学的検討

Reynoldsらにより定義された急性化膿性胆管炎は比較的まれな疾患であるが, 早期診断と適切な減圧手術を施行しなければ, 予後が悪い. 最近我々は5例の同疾患を経験したので, 各症例の既往歴, 症状, 検査所見と経過, 手術所見, 予後, および病理学的所見を比較検討した. 肝組織は3例より得られたが, グリソン氏鞘に細胞浸潤が強く, 2例に多発膿瘍が認められた. 胆道炎が急性化膿性胆管炎に発展する要因として, 感染と胆道内圧上昇が大きな因子であると思われるが, 閉塞した胆道壁に硬化がある場合, 特に内圧が上昇しやすいと思われた. 細胆管炎まで発展したものはExtrahepatic bile...

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Published in医療 Vol. 32; no. 3; pp. 326 - 329
Main Authors 森田, 弘之, 高松, 脩, 津田, 宏信, 浅井, 伴衛, 正来, 恭定, 今井, 武司, 中田, 理, 道場, 昭太郎, 竹山, 茂, 山口, 明夫, 渡辺, 駅七郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1978
医療同好会
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Summary:Reynoldsらにより定義された急性化膿性胆管炎は比較的まれな疾患であるが, 早期診断と適切な減圧手術を施行しなければ, 予後が悪い. 最近我々は5例の同疾患を経験したので, 各症例の既往歴, 症状, 検査所見と経過, 手術所見, 予後, および病理学的所見を比較検討した. 肝組織は3例より得られたが, グリソン氏鞘に細胞浸潤が強く, 2例に多発膿瘍が認められた. 胆道炎が急性化膿性胆管炎に発展する要因として, 感染と胆道内圧上昇が大きな因子であると思われるが, 閉塞した胆道壁に硬化がある場合, 特に内圧が上昇しやすいと思われた. 細胆管炎まで発展したものはExtrahepatic bile stasisに加えてIntrahepatic bile stasisが加わり, 肝不全を惹起するであろうことが考えられ, 減圧手術を行つても予後が好転しないと考えられた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.32.326