縦隔転移リンパ節からの進展による右主気管支閉塞を認めた転移性肺腫瘍の 1 例

5年前に結腸癌手術の既往をもつ50歳男。進行性の呼吸困難と咳嗽, 血痰を主訴として入院。胸部X線写真上右完全無気肺を示し, 胸部CT写真で著明に偏位した縦隔に石灰化腫瘤所見を認めた。気管支鏡では右主気管支を完全閉塞し, 気管分岐部を越えて左主気管支へ連続性に浸潤する壊死傾向の強い腫瘤を認めた。既往歴および腫瘤生検での石灰化を有する腺癌の組織所見から結腸癌のendobronchial metastasisと診断した。左右主気管支を含めて6, 000 radsの放射線療法を行ない, 右肺の含気の回復, 気管支鏡所見, 自覚症状の改善を得た。照射終了後の胸部CT写真では, 石灰化腫瘤は気管分岐下の転...

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Published in気管支学 Vol. 7; no. 3; pp. 329 - 335
Main Authors 渡辺, 秀一, 松岡, 緑郎, 倉富, 雄四郎, 荒井, 達夫, 吉良, 枝郎, 川井, 俊郎, 横山, 武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1985
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Summary:5年前に結腸癌手術の既往をもつ50歳男。進行性の呼吸困難と咳嗽, 血痰を主訴として入院。胸部X線写真上右完全無気肺を示し, 胸部CT写真で著明に偏位した縦隔に石灰化腫瘤所見を認めた。気管支鏡では右主気管支を完全閉塞し, 気管分岐部を越えて左主気管支へ連続性に浸潤する壊死傾向の強い腫瘤を認めた。既往歴および腫瘤生検での石灰化を有する腺癌の組織所見から結腸癌のendobronchial metastasisと診断した。左右主気管支を含めて6, 000 radsの放射線療法を行ない, 右肺の含気の回復, 気管支鏡所見, 自覚症状の改善を得た。照射終了後の胸部CT写真では, 石灰化腫瘤は気管分岐下の転移リンパ節で, 生検組織の石灰化所見とあわせて, 本症の気管支内腔の病変は気管分岐下リンパ節からの直接浸潤による閉塞および狭窄と考えられた。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.7.3_329