三重複肺癌を示した Occult lung cancer の 1 例

胸部X線無所見で, 気管支鏡的に3カ所独立して癌の局在を認め, 三重複肺癌を示すroentgenogrophically occult lung cancerと診断した1例を経験した。患者は56歳男で喫煙係数700, 咳嗽が続き, 喀痰細胞診でclass V扁平上皮癌を認めた。胸部X線写真は正常。計3回の気管支鏡検査で右B^2入口部のポリープ状腫瘤, 右B^4入口部の結節状腫瘤, 左B^<1+2>とB^3のspurの肥厚と一部隆起と, 3ヵ所に病変を認め, いずれも扁平上皮癌の組織像を得た。両肺に病変を認めたため, 放射線治療と化学療法を併用し, 気管支鏡的に腫瘍の縮小を認めた。本...

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Published in気管支学 Vol. 7; no. 2; pp. 196 - 201
Main Authors 江藤, 尚, 坂元, 隆一, 源馬, 均, 松原, 環, 金谷, 雄生, 本多, 淳郎, 平田, 唯夫, 平沢, 亥佐吉, 鈴木, 春見
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1985
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Summary:胸部X線無所見で, 気管支鏡的に3カ所独立して癌の局在を認め, 三重複肺癌を示すroentgenogrophically occult lung cancerと診断した1例を経験した。患者は56歳男で喫煙係数700, 咳嗽が続き, 喀痰細胞診でclass V扁平上皮癌を認めた。胸部X線写真は正常。計3回の気管支鏡検査で右B^2入口部のポリープ状腫瘤, 右B^4入口部の結節状腫瘤, 左B^<1+2>とB^3のspurの肥厚と一部隆起と, 3ヵ所に病変を認め, いずれも扁平上皮癌の組織像を得た。両肺に病変を認めたため, 放射線治療と化学療法を併用し, 気管支鏡的に腫瘍の縮小を認めた。本例はoccult lung cancerにおいては, 癌が多中心性に起こりやすいことを示唆する1症例と考えられ, 局在診断や治療後のフォローにも充分な注意が必要である。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.7.2_196