気道熱傷の 1 例

火災による気道熱傷の1例において, その気管支鏡所見の経時的変化を長期にわたり観察する機会を得た。煤を含む黒色痂皮の付着, 気道粘膜の発赤・腫脹を主体とする受傷後数日間の時期を経て, 第7病日前後から痂皮の剥脱, 膿性分泌物の増加が始まり, これらによる気道疎通性の障害には気管支鏡下でのbronchial toiletが有効であった。その後, 粘膜の炎症所見の消退とともにポリープ様の肉芽組織が形成され, 最終的には気道粘膜の瘢痕性変化を来したが, 患者は少量の喀痰と嗄声を呈するのみで職場に復帰しえた。一連の気道粘膜変化は各気管支の分岐部に強く, この部が熱の物理的作用を最も受けやすいことを示唆...

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Published in気管支学 Vol. 5; no. 3; pp. 307 - 312
Main Authors 三重野, 龍彦, 松岡, 緑郎, 名取, 博, 荒井, 達夫, 吉良, 枝郎, 森田, 守, 窪田, 達也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1983
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Summary:火災による気道熱傷の1例において, その気管支鏡所見の経時的変化を長期にわたり観察する機会を得た。煤を含む黒色痂皮の付着, 気道粘膜の発赤・腫脹を主体とする受傷後数日間の時期を経て, 第7病日前後から痂皮の剥脱, 膿性分泌物の増加が始まり, これらによる気道疎通性の障害には気管支鏡下でのbronchial toiletが有効であった。その後, 粘膜の炎症所見の消退とともにポリープ様の肉芽組織が形成され, 最終的には気道粘膜の瘢痕性変化を来したが, 患者は少量の喀痰と嗄声を呈するのみで職場に復帰しえた。一連の気道粘膜変化は各気管支の分岐部に強く, この部が熱の物理的作用を最も受けやすいことを示唆した。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.5.3_307