マイコプラズマ感染における気管粘膜の超微形態学的研究

ゴールデンハムスターにMycoplasma pneumoniae FH strainの経鼻注入を行ない, 気管膜様部の超微形態変化を経時的に追跡評価した。注入1時間以内にマイコプラズマはtipを介して線毛膜に付着し, 細胞膜の融合が認められた。次いで線毛膜の破壊, 線毛細胞のfragmentation, 微絨毛のclumping等の細胞変性が進行し, 14日後には高度の線毛脱落が認められた。上皮細胞の修復過程においては, 再生線毛の発生に伴い線毛細胞内の複数の軸糸構造が単一の線毛膜を共有し膨隆する所見がみられ, 複合線毛の形成が示唆された。さらに感染30日後における複合線毛の増加は, 粘液線毛...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in気管支学 Vol. 8; no. 2; pp. 191 - 197
Main Authors 玉置, 淳, 片山, 道夫, 川上, 雅彦, 滝沢, 敬夫, 荒明, 美奈子, 吉岡, 守正
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1986
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:ゴールデンハムスターにMycoplasma pneumoniae FH strainの経鼻注入を行ない, 気管膜様部の超微形態変化を経時的に追跡評価した。注入1時間以内にマイコプラズマはtipを介して線毛膜に付着し, 細胞膜の融合が認められた。次いで線毛膜の破壊, 線毛細胞のfragmentation, 微絨毛のclumping等の細胞変性が進行し, 14日後には高度の線毛脱落が認められた。上皮細胞の修復過程においては, 再生線毛の発生に伴い線毛細胞内の複数の軸糸構造が単一の線毛膜を共有し膨隆する所見がみられ, 複合線毛の形成が示唆された。さらに感染30日後における複合線毛の増加は, 粘液線毛輸送能の低下をうらづけるものと考えられた。以上の形態変化は, マイコプラズマ感染症特有の中枢部気道刺激症状と遷延する喀痰, 咳嗽等に反映されるものと推察された。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.8.2_191