悪性黒色腫の肺転移の2症例

悪性黒色腫は色素細胞の悪性腫瘍で, 悪性腫瘍の中でも比較的稀なものであります. Kinseyら2)によれば, すべての悪性腫瘍の1.3%をしめ, 80~90%は皮膚に原発したものであると報告している. 私どもも最近呼吸器症状を主訴として, 内科へ入院した肺転移の2症例を経験したので報告する. 症例 症例1 72才, 寡婦. 家族歴:父, 65才, 高血圧症で死亡. 母, 84才, 糖尿病で死亡. 同胞, 5人中3人死亡(肺結核1, 腎疾患 2). 2人健在. 既往歴:49才, 甲状腺肥大, 放置しておいたら縮小. 主訴:咳嗽, 呼吸困難. 現病歴:39年5月25日, 右小陰唇の小指頭大の黒色腫...

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Published in医療 Vol. 23; no. 2; pp. 254 - 259
Main Authors 山藤, 光彦, 児玉, 三千男, 田村, 潤, 後藤, 寿美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1969
医療同好会
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Summary:悪性黒色腫は色素細胞の悪性腫瘍で, 悪性腫瘍の中でも比較的稀なものであります. Kinseyら2)によれば, すべての悪性腫瘍の1.3%をしめ, 80~90%は皮膚に原発したものであると報告している. 私どもも最近呼吸器症状を主訴として, 内科へ入院した肺転移の2症例を経験したので報告する. 症例 症例1 72才, 寡婦. 家族歴:父, 65才, 高血圧症で死亡. 母, 84才, 糖尿病で死亡. 同胞, 5人中3人死亡(肺結核1, 腎疾患 2). 2人健在. 既往歴:49才, 甲状腺肥大, 放置しておいたら縮小. 主訴:咳嗽, 呼吸困難. 現病歴:39年5月25日, 右小陰唇の小指頭大の黒色腫瘤に気付き, 国立名古屋病院婦人科受診, 腫瘤の切除をうけた. その組織所見は紡錘形から円形の不規則な細胞の増殖からなり, 明らかな異型像があり, この細胞には黒色の色素が多く, これはメラニン色素で, はっきりした特定の組織構造はなく配列は不定である(図1). この所見より悪性黒色腫の診断を得た.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.23.254