妊娠経過中に実施した腹部手術(虫垂切除術およびヘルニア根治術)の経験

妊娠経過中に見られる外科的腹部疾患のうち緊急手術を行なう場合は, 母体の生命確保のため胎児を犠牲にすることもやむを得ないとされているが, その他の場合は妊娠経過に影響なく手術が実施されるべきであることはいうまでもない. われわれは妊娠経過中に実施した腹部手術例について, その発病から予後に至るまでの推移および経過中の所見について検討を加えた. 「症例」昭和44年から46年に至る間に妊娠経過中に行なつた腹部手術症例は15例であり, 手術は, 虫垂切除術9例, そけいヘルニア根治術6例であつた. 「虫垂炎」「1. 発生頻度および術前の状態(表1)」年令的分布は18才~29才で, 分娩回数については...

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Published in医療 Vol. 27; no. 4; pp. 337 - 340
Main Authors 高木, 八重子, 石山, 和夫, 丸田, 潤, 木村, 忠
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1973
医療同好会
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Summary:妊娠経過中に見られる外科的腹部疾患のうち緊急手術を行なう場合は, 母体の生命確保のため胎児を犠牲にすることもやむを得ないとされているが, その他の場合は妊娠経過に影響なく手術が実施されるべきであることはいうまでもない. われわれは妊娠経過中に実施した腹部手術例について, その発病から予後に至るまでの推移および経過中の所見について検討を加えた. 「症例」昭和44年から46年に至る間に妊娠経過中に行なつた腹部手術症例は15例であり, 手術は, 虫垂切除術9例, そけいヘルニア根治術6例であつた. 「虫垂炎」「1. 発生頻度および術前の状態(表1)」年令的分布は18才~29才で, 分娩回数については, 初産例5, 経産例4, 手術実施の妊娠経過中における時期は4週ないし36週で, 初期(12週以内)のもの4例, 中期(24週以内)のもの3例, 後期(25週以後)のもの2例であつた. 虫垂炎症例の発症から手術に至る期間は12時間から4日にわたつており, 緊急手術を行なつた2例中1例には虫垂の穿孔が見られた.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.27.337