右女性乳房摘出後に発生した左男子乳癌の1例

症例は69才, 男子, 農業. 昭和42年12月, 右女性乳房症で摘出術をうけた. 約6年後の昭和48年10月, 左乳頭直下の小指頭大の腫瘤を主訴として来院. 腫瘤を摘出したが, 組織学的には腺癌であった. 放射線療法と化学療法を追加して行ったが, 約2年後の現在, 再発や転移の徴はなく, 元気に家業に従事している. 男子乳癌と女性乳房症との関連について若干の文献的考察を加えた. 男子乳癌は全乳癌に対する頻度が1%前後とされ, 比較的希なものであるが, 女性乳房症にさらに乳癌が続発するのは極めて希であろう. 我々は右側の女性乳房症を摘出した約6年後に, 左側に乳癌か発生した1例を経験したので,...

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Published in医療 Vol. 30; no. 7; pp. 647 - 649
Main Authors 鈴木, 康紀, 杉山, 雄一, 鎌田, 義正, 小館, 昭示, 三上, 俊郎, 山形, 尚正, 笹村, 雅人, 土田, 博, 津島, 恵輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1976
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.30.647

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Summary:症例は69才, 男子, 農業. 昭和42年12月, 右女性乳房症で摘出術をうけた. 約6年後の昭和48年10月, 左乳頭直下の小指頭大の腫瘤を主訴として来院. 腫瘤を摘出したが, 組織学的には腺癌であった. 放射線療法と化学療法を追加して行ったが, 約2年後の現在, 再発や転移の徴はなく, 元気に家業に従事している. 男子乳癌と女性乳房症との関連について若干の文献的考察を加えた. 男子乳癌は全乳癌に対する頻度が1%前後とされ, 比較的希なものであるが, 女性乳房症にさらに乳癌が続発するのは極めて希であろう. 我々は右側の女性乳房症を摘出した約6年後に, 左側に乳癌か発生した1例を経験したので, 男子乳癌と女性乳房症との関連について若干の文献的考察を加えて報告する. 「症例」患者:小○桐○治. 男性, 69才, 農業 家族歴, 既往歴:特記すべきことはない. 現病歴:昭和42年12月に右乳頭下の拇指頭大, 有痛性腫瘤のため当科で摘出術をうけた. 組織学的には豊富な間質の中に散在性に腺管の増殖像がみられ, 一部には腺管上皮の小乳頭状増殖もあるが, 悪性像はみられず女性乳房症であった(図1).
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.30.647