気管支喘息患者における生検気管支組織の基底膜の肥厚と臨床病態との関連について

気管支喘息患者17例および対照者9例について, 気管支内視鏡的に右B^6・肺底枝分岐部および左上・下葉支分岐部より生検採取した気管支組織の基底膜の厚さを測定し, 喘息の臨床的病態との関連性を検討した。基底膜の厚さは喘息患者では9.9μ±1.2, 対照者では6.1μ±0.5であった。喘息罹患年数において, 発症後4年以内のものにすでに基底膜の肥厚が認められ, 5年以上経たものではより著明な肥厚がみられた。アトピー, 感染の喘息病型と基底膜の肥厚との間には有意の相関がみられなかった。軽症, 中等症, 重症の喘息重症度およびステロイド非依存, 依存の難治性と基底膜の肥厚との間にはそれぞれ有意の相関が...

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Published in気管支学 Vol. 7; no. 1; pp. 8 - 14
Main Authors 鈴木, 大次郎, 笠原, 慶太, 石原, 潤一, 平泉, 隆, 田沢, 公樹, 佐々木, 康綱, 横川, 敏男, 野口, 久, 池田, 千鶴, 成松, 博, 会田, 秀介, 足立, 満, 中島, 宏昭, 井出, 宏嗣, 高橋, 昭三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1985
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Summary:気管支喘息患者17例および対照者9例について, 気管支内視鏡的に右B^6・肺底枝分岐部および左上・下葉支分岐部より生検採取した気管支組織の基底膜の厚さを測定し, 喘息の臨床的病態との関連性を検討した。基底膜の厚さは喘息患者では9.9μ±1.2, 対照者では6.1μ±0.5であった。喘息罹患年数において, 発症後4年以内のものにすでに基底膜の肥厚が認められ, 5年以上経たものではより著明な肥厚がみられた。アトピー, 感染の喘息病型と基底膜の肥厚との間には有意の相関がみられなかった。軽症, 中等症, 重症の喘息重症度およびステロイド非依存, 依存の難治性と基底膜の肥厚との間にはそれぞれ有意の相関がみられなかった。メサコリン吸入気道過敏性と基底膜の厚さとの間にも有意の相関がみられなかった。喘息患者にみられた気管支粘膜基底膜の肥厚は, 臨床病態に対して必ずしも重要な因子ではないようである。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.7.1_8