人工心肺による開心術

• Published in: 医療 Vol. 26; no. 3; pp. 254 - 257
• Main Authors: 伊藤, 忠弘, 藤倉, 一郎, 黒沢, 博身, 安西, 信行
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 一般社団法人 国立医療学会 1972; 医療同好会
• ISSN: 0021-1699; 1884-8729
• DOI: 10.11261/iryo1946.26.254

人工心肺を用いた開心術は, かなりひろく普及したと考えられるが, 今日なお, 人工心肺の使用基準や操作が, まちまちであるために正しい普及が阻まれている. 私たちは, 本年4月に循環器センターの開設以来, 開心術を行ない, 次第に症例の増加をみているが, 私たちの人工心肺と, 体外循環方式を紹介し, 症例をあげて, その安全性と簡易性を報告することにする. 「私たちの人工心肺と体外循環」人工心肺は1965年, 著者の考案した重量式Disposable sheet oxygenatorを用いている. 1) この人工心肺は, 人工肺内にたまる血液量を体外循環中, 終始, 重量計の目盛でよむことができ, 血液平衡を正確に保つことができる. この重量方式の採用は, 乳幼児体外循環に特に有利である. 2) 人工肺は他の付属の回路をふくめて, すべて塩化ビニール製で, エチレン・オキサイドにより滅菌消毒してあるので, 随時, 使用することができる. なおかつ, 使用後は使い捨てであるために, 手間がはぶける. 人工肺は機構上, 気泡型で, 他の方式の人工肺とくらべて, 酸素加効率は高く, 人工肺充填液量は少ない.