重症頸動脈病変を合併した不安定狭心症に対し, 頸動脈ステント留置術を先行させた心拍動下冠動脈バイパス術の1治験例

症例は70歳の男性で不安定狭心症のために入院した.脳梗塞の既往歴があり, 両側浅側頭動脈-中大脳動脈バイパス術を他院で受けていた.冠動脈造影では左主幹部に50%, 左前下行枝に75%の狭窄と右冠動脈中枢および回旋枝の完全閉塞を認め, 冠動脈バイパス術の予定となった.脳動脈造影で右総頸動脈, 左内頸動脈および左椎骨動脈の完全閉塞, 左外頸動脈起始部の90%狭窄を合併していた.周術期中枢神経障害の危険性が高度と判断されたため, 局所麻酔下に左外頸動脈狭窄に対しステント留置術を実施した.発作性心房細動を頻回に繰り返すため, 術前1週間アミオダロン400mgを内服し心房細動の抑制と除拍化に成功した.頸...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 51; no. 2; pp. 135 - 139
Main Authors 大林, 民幸, 安原, 清光, 小谷野, 哲也, 田中, 伸幸, 月岡, 大吾, 江熊, 広海, 石原, 淳治, 中島, 重良, 矢内, 由美, 小野田, 公夫, 内藤, 功
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 北関東医学会 01.03.2001
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Summary:症例は70歳の男性で不安定狭心症のために入院した.脳梗塞の既往歴があり, 両側浅側頭動脈-中大脳動脈バイパス術を他院で受けていた.冠動脈造影では左主幹部に50%, 左前下行枝に75%の狭窄と右冠動脈中枢および回旋枝の完全閉塞を認め, 冠動脈バイパス術の予定となった.脳動脈造影で右総頸動脈, 左内頸動脈および左椎骨動脈の完全閉塞, 左外頸動脈起始部の90%狭窄を合併していた.周術期中枢神経障害の危険性が高度と判断されたため, 局所麻酔下に左外頸動脈狭窄に対しステント留置術を実施した.発作性心房細動を頻回に繰り返すため, 術前1週間アミオダロン400mgを内服し心房細動の抑制と除拍化に成功した.頸動脈ステント留置術より10日後に左前下行枝と右冠動脈房室枝に対し, 体外循環非使用心拍動下冠動脈バイパス術 (off-pump CABG) を合併症なく施行しえた.本術式は従来の頸動脈血管内膜剥離術と体外循環下CABGに比較し, 低侵襲でhigh-risk症例には有用である.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.51.135