経肺動脈による動脈管閉鎖

通常の開心術は体外循環下に行われることが多いが, 時として, 術野に出血が多く無血視野が得にくい場合がある. 我々は循環冷却により脱血温20℃~23℃, 直腸温26.5℃~27℃にて体外循環を41分間, 間歇的に停止し, 肺動脈側より動脈管を閉鎖した. この際, 問題となるのが, 循環停止による脳合併症である. 脳合併症を起こさずに循環停止可能な許容時間が問題となる. 現在のところ必ずしも循環停止時間と体温の関係については一定の基準はないようである. 循環停止時間が長い程, 脳合併症が多いと報告されている. 肺高血圧を伴う動脈管開存症はしばしば心室中隔欠損症と誤られやすいので注意を要する. 肺...

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Published in医療 Vol. 30; no. 3; pp. 220 - 223
Main Authors 高梨, 吉則, 岡田, 忠彦, 山田, 学, 安西, 信行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 1976
医療同好会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.30.220

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Summary:通常の開心術は体外循環下に行われることが多いが, 時として, 術野に出血が多く無血視野が得にくい場合がある. 我々は循環冷却により脱血温20℃~23℃, 直腸温26.5℃~27℃にて体外循環を41分間, 間歇的に停止し, 肺動脈側より動脈管を閉鎖した. この際, 問題となるのが, 循環停止による脳合併症である. 脳合併症を起こさずに循環停止可能な許容時間が問題となる. 現在のところ必ずしも循環停止時間と体温の関係については一定の基準はないようである. 循環停止時間が長い程, 脳合併症が多いと報告されている. 肺高血圧を伴う動脈管開存症はしばしば心室中隔欠損症と誤られやすいので注意を要する. 肺動脈側より動脈管を閉鎖する方法は, 巨大動脈管例では確実で安全な方法である.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.30.220