気管支ファイバースコープと非定型抗酸菌 : 内視鏡下吸引物の細菌学的検査の際にみられる false positive 現象と新しい気管支ファイバースコープの開発

気管支ファイバースコピーによって得られる気管支洗浄液を用いた抗酸菌検査は, 呼吸器結核の診断に極めて有用であったが, 抗酸菌陽性の成績は必ずしもtrue positiveばかりではなく, ファイバースコープを介したfalse positiveも含まれていた。我々の施設で使用している8本のファイバースコープについて, それぞれ, 抗酸菌陽性例の分離状況を検討したところ, 非定型抗酸菌陽性を示した症例が, ある特定のファイバースコープの, ある特定の一時期に集中していた。この汚染された気管支ファイバースコープは旧式のもので, 鉗子孔の構造に問題があり, 走査型電顕, 抗酸菌染色にて抗酸菌の増殖が確...

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Published inThe Journal of the Japan Society for Respiratory Endoscopy Vol. 8; no. 3; pp. 338 - 345
Main Authors 野瀬, 育宏, 中村, 三千男, 冨松, 久信, 古賀, 俊彦, 原野, 由美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 1986
The Japan Society for Respiratory Endoscopy
Subjects
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.8.3_338

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Summary:気管支ファイバースコピーによって得られる気管支洗浄液を用いた抗酸菌検査は, 呼吸器結核の診断に極めて有用であったが, 抗酸菌陽性の成績は必ずしもtrue positiveばかりではなく, ファイバースコープを介したfalse positiveも含まれていた。我々の施設で使用している8本のファイバースコープについて, それぞれ, 抗酸菌陽性例の分離状況を検討したところ, 非定型抗酸菌陽性を示した症例が, ある特定のファイバースコープの, ある特定の一時期に集中していた。この汚染された気管支ファイバースコープは旧式のもので, 鉗子孔の構造に問題があり, 走査型電顕, 抗酸菌染色にて抗酸菌の増殖が確認された。非定型抗酸菌がファイバースコープを介して混入し, 抗酸菌陽性を示したfalse positive現象が存在することが判明した。そこで, 我々は, 特に, compromised hostの肺胞洗浄用に新しい型の気管支ファイバースコープを開発した。
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.8.3_338