寒冷血管反応およびしもやけ罹患率からみた局所耐寒性の年齢差および性差について

局所耐寒性における年齢差, 性差を検討するために, 寒冷血管反応テストおよびしもやけ罹患率の調査を行った.寒冷血管反応テストでは, 5℃に調節された恒温水槽内に右手人差指を12分または15分間浸潰させて指端部の温度変化を測定し, 寒冷血管反応発現時間 (TTR) , 寒冷血管反応発現温度 (TFR) , 寒冷血管反応幅 (AT) , および浸漬中の最高皮膚温 (HST) を算出した.男子では, 4~5歳児と10~11歳児との間のすべてのパラメータに有意の差が認められ, 10~11歳児と13~14歳児との間にはTFR, 13~14歳児と16~17歳児との間には, TTR, AT, HSTに有意の...

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Published in日本生気象学会雑誌 Vol. 25; no. 2; pp. 89 - 95
Main Authors 阪本, 知子, 安田, 好文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生気象学会 1988
Japanese Society of Biometeorology
Subjects
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ISSN0389-1313
1347-7617
DOI10.11227/seikisho1966.25.89

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Summary:局所耐寒性における年齢差, 性差を検討するために, 寒冷血管反応テストおよびしもやけ罹患率の調査を行った.寒冷血管反応テストでは, 5℃に調節された恒温水槽内に右手人差指を12分または15分間浸潰させて指端部の温度変化を測定し, 寒冷血管反応発現時間 (TTR) , 寒冷血管反応発現温度 (TFR) , 寒冷血管反応幅 (AT) , および浸漬中の最高皮膚温 (HST) を算出した.男子では, 4~5歳児と10~11歳児との間のすべてのパラメータに有意の差が認められ, 10~11歳児と13~14歳児との間にはTFR, 13~14歳児と16~17歳児との間には, TTR, AT, HSTに有意の差が認められた.しかし, 16~17歳児と老人との間には差は認められなかった.女子では, 4~5歳児と10~11歳児間には, 男子同様すべてに有意の差が認められたが, 10~11歳児と13~14歳児間, および13~14歳児と16~17歳児間には, ATを除き有意の差は認められなかった.16~17歳児と老人との間にはAT, HSTに有意の差が認められた.性差については, 16~17歳児のTTR, AT, HSTにのみ有意の差が認められた. 一方, 4~17歳児, 延べ1198人を対象に, しもやけ罹患に関するアンケート調査を実施した.4~5歳の罹患率は, 男女ともおよそ30%, 6~7歳児の罹患率は2倍に増加し, その後, 男子では年齢に伴い減少したが, 女子では有意の変化は認められなかった.そのため16~17歳児において有意の性差が認められた.しもやけ罹患で認められたこれらの傾向は, 寒冷血管反応の年齢変化, ならびに性差と同様の傾向であった.
ISSN:0389-1313
1347-7617
DOI:10.11227/seikisho1966.25.89