レセプトデータの処方履歴を用いた死亡予測モデルの開発と妥当性検証

特定の疾患や病態をもつ患者群におけるアウトカム比較では,潜在的な患者の重症度を補正する手法が取られる。しかし,日本のデータベースに応用するための,日本で開発された手法はまだ少ない。そこで,我々は,患者の重症度を予測する手法の精度向上を目的に,多領域のアウトカム評価研究に利用可能な,日本の医薬品の情報を用いたメディケーションベースド・コモービディティー・インデックス:Japanese medication-based comorbidity index(JMCI)を開発し,その妥当性を検証した。国立病院機構143施設に受診した15歳以上成人のレセプト情報を対象とし,113,091症例(50%)を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in医療と社会 Vol. 27; no. 2; pp. 251 - 259
Main Authors 堀口, 裕正, 伏見, 清秀, 今井, 志乃ぶ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 医療科学研究所 2017
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0916-9202
1883-4477
DOI10.4091/iken.2017.002

Cover

More Information
Summary:特定の疾患や病態をもつ患者群におけるアウトカム比較では,潜在的な患者の重症度を補正する手法が取られる。しかし,日本のデータベースに応用するための,日本で開発された手法はまだ少ない。そこで,我々は,患者の重症度を予測する手法の精度向上を目的に,多領域のアウトカム評価研究に利用可能な,日本の医薬品の情報を用いたメディケーションベースド・コモービディティー・インデックス:Japanese medication-based comorbidity index(JMCI)を開発し,その妥当性を検証した。国立病院機構143施設に受診した15歳以上成人のレセプト情報を対象とし,113,091症例(50%)を開発群に,113,324症例(50%)を検証群にランダムに振り分けた。開発群において,指標医薬品群として,25薬効群(727品目)を採択した。同時に予測モデルを構築し,オッズ比に基づく重み付けによりJMCIを開発した。開発群,検証群のどちらも,JMCIと観測死亡のc統計量は,それぞれ0.767,0.770,予測死亡と観測死亡では,それぞれ0.808,0.807であった。本研究にて開発した予測モデルは適用可能であったが,JMCIが適用可能であったのは重症度が高い患者群であり,今後医薬品の選定方法や重み付けの方法を変更する必要があると考えられた。
ISSN:0916-9202
1883-4477
DOI:10.4091/iken.2017.002