食品添加物水溶液におけるゼアラレノンの分解について
小麦粉改良剤 (臭素酸カリウム, 過硫酸アンモニウム), 殺菌剤 (過酸化水素) に対するゼアラレノンの安定性について検討した. 1) ゼアラレノンはアルカリ性では不安定であるが, 中性もしくは酸性で比較的安定であり, ほとんど分解しない. 2) ゼアラレノンは臭素酸カリウムに対しては比較的安定であったが, 過硫酸アンモニウム水溶液 (pH 5.0), 過酸化水素水 (pH 5.0) 中では加温と共に消失は著しかった. 特に食品衛生法に基づく使用基準の範囲内の濃度においてもめいりょうな消失がみられた. 3) 加温時におけるゼアラレノンの消失については, 過硫酸アンモニウム水溶液中 (0.5%)...
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Published in | 食品衛生学雑誌 Vol. 20; no. 5; pp. 385 - 390 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本食品衛生学会
1979
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Summary: | 小麦粉改良剤 (臭素酸カリウム, 過硫酸アンモニウム), 殺菌剤 (過酸化水素) に対するゼアラレノンの安定性について検討した. 1) ゼアラレノンはアルカリ性では不安定であるが, 中性もしくは酸性で比較的安定であり, ほとんど分解しない. 2) ゼアラレノンは臭素酸カリウムに対しては比較的安定であったが, 過硫酸アンモニウム水溶液 (pH 5.0), 過酸化水素水 (pH 5.0) 中では加温と共に消失は著しかった. 特に食品衛生法に基づく使用基準の範囲内の濃度においてもめいりょうな消失がみられた. 3) 加温時におけるゼアラレノンの消失については, 過硫酸アンモニウム水溶液中 (0.5%) では100°および80°, 5分間の加温で半減した. 60°ではその半減期は約30分であり, 40°, 1時間, 加温の条件では反応は進まなかった. 過酸化水素水中 (0.5%) では100°, 1時間, 加温で約95%が消失し, 反応は直線的に進行した. 80°加温では約40分で半減し, 以後, あまり反応は進行しなかった. 60°以下においては1時間内では反応はあまり進まなかった. 4) ゼアラレノンの消失は過硫酸アンモニウム, 過酸化水素の0.00024~0.03%の間で濃度に依存しており, 100°, 1時間の加温で, 0.03%の過硫酸アンモニウム液中で96%, 0.01%の過酸化水素水中で62%の消失であった. 5) 室温条件下においても, 過硫酸アンモニウム水溶液, 過酸化水素水中でゼアラレノンの消失が起こり, 特に食品衛生法に基づく使用基準に示された濃度においてもめいりょうな消失が起こった. |
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ISSN: | 0015-6426 1882-1006 |
DOI: | 10.3358/shokueishi.20.385 |