海外旅行を契機に発症した成人発症II型シトルリン血症の1例

症例は43歳の男性である.弟に痙攣重積で死亡の家族歴あり.3日間の海外旅行から帰った翌日から異常行動,意識障害が出現し,当科に入院した.高アンモニア血症と脳波で前頭部優位の左右差のない徐波の群発をみとめ,肝性脳症と考えた.分枝鎖アミノ酸製剤の輸液で症状は一時改善した.アミノ酸分析で血漿シトルリン高値をみとめ,遺伝子解析により成人発症II型シトルリン血症と確定診断した.食事療法と薬物療法で良好な状態を維持できるようになったが,増悪するばあいは唯一の根治療法である肝移植をおこなう予定である.本例は無意識に毎日摂取していたナッツを海外旅行で食べなかったことが発症の契機になった可能性がある....

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Published in臨床神経学 Vol. 54; no. 9; pp. 747 - 750
Main Authors 柴田, 益成, 島田, 拓弥, 内藤, 寛, 山﨑, 正禎, 濱岡, 志麻
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 01.09.2014
Subjects
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.54.747

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Summary:症例は43歳の男性である.弟に痙攣重積で死亡の家族歴あり.3日間の海外旅行から帰った翌日から異常行動,意識障害が出現し,当科に入院した.高アンモニア血症と脳波で前頭部優位の左右差のない徐波の群発をみとめ,肝性脳症と考えた.分枝鎖アミノ酸製剤の輸液で症状は一時改善した.アミノ酸分析で血漿シトルリン高値をみとめ,遺伝子解析により成人発症II型シトルリン血症と確定診断した.食事療法と薬物療法で良好な状態を維持できるようになったが,増悪するばあいは唯一の根治療法である肝移植をおこなう予定である.本例は無意識に毎日摂取していたナッツを海外旅行で食べなかったことが発症の契機になった可能性がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.54.747