生活習慣病のリスク低減を目的とした介入研究における報告の質に関する系統的レビュー

【目的】生活習慣病のリスク低減を目的に行われた,栄養・食生活を中心とした介入プログラムの効果を評価したわが国の論文に関して,「報告の質」を系統的に分析すること。 【方法】医学中央雑誌データベースを用い,2004~2009年に刊行され,今回の目的に合致した原著論文を検索式及び精読により選択した。分析のために,TREND及びCONSORTのチェックリストを参照して,34の項目から構成した独自のチェックリストを作成した。それに基づいて算出した各論文における項目記述数について,研究デザイン(無作為化比較試験(RCT),無作為でない比較試験(non-RCT),前後比較試験),刊行年,発表言語,構造化抄録...

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Published in栄養学雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 182 - 192
Main Authors 川﨑, 徹大, 吉池, 信男, 荒井, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本栄養改善学会 2011
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ISSN0021-5147
1883-7921
DOI10.5264/eiyogakuzashi.69.182

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Summary:【目的】生活習慣病のリスク低減を目的に行われた,栄養・食生活を中心とした介入プログラムの効果を評価したわが国の論文に関して,「報告の質」を系統的に分析すること。 【方法】医学中央雑誌データベースを用い,2004~2009年に刊行され,今回の目的に合致した原著論文を検索式及び精読により選択した。分析のために,TREND及びCONSORTのチェックリストを参照して,34の項目から構成した独自のチェックリストを作成した。それに基づいて算出した各論文における項目記述数について,研究デザイン(無作為化比較試験(RCT),無作為でない比較試験(non-RCT),前後比較試験),刊行年,発表言語,構造化抄録の有無別に比較した。 【結果】50件の論文が選択され,そのうちRCT 6件,non-RCT 15件であった。これらを独自チェックリストに基づき判定した結果,全34項目に対して平均17.3項目(最小9~最大29項目)であった。研究デザイン別では,RCT,non-RCT,前後比較試験の順に項目記述数は少なく,構造化抄録やフローチャートを有する論文では,項目記述数は相対的に多かった。 【結論】介入研究の結果を実践のためのエビデンスとして活用するためには,報告の質を高める必要がある。今回作成したチェックリストによる項目記述数が多い論文では,相対的に報告の質が高いことが期待されることから,チェックリスト等を用いて報告された論文を継続的にモニタリングする意義はあると考えられた。
ISSN:0021-5147
1883-7921
DOI:10.5264/eiyogakuzashi.69.182