対象物の位置関係と性質の変化が座位到達動作時の姿勢調節に及ぼす影響
本研究の目的は,座位到達動作において到達させる対象物の性質や被験者との位置関係が姿勢調節に及ぼす影響を検討することである。対象は健常若年者(以下,健常者)12名と脳卒中片麻痺患者(以下,片麻痺患者)10名であった。被験者には,椅子座位で位置や高さが自由に調節可能なテーブル上に置かれたコップへ手を伸ばし,持ち上げるという到達動作課題を行わせた。到達動作課題は,重量,軽量という性質の異なった二種類の対象物と正中位,内転位,外転位という三つの配置条件を組み合わせ,合計6種類の課題を設定した。健常者では,配置条件の違いで到達時間,垂直床反力,そして筋電活動量に有意な影響を認め,片麻痺患者では垂直床反力...
Saved in:
Published in | 理学療法学 Vol. 27; no. 6; pp. 183 - 191 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本理学療法士学会
30.09.2000
日本理学療法士協会 Japanese Society of Physical Therapy |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0289-3770 2189-602X |
DOI | 10.15063/rigaku.kj00003131677 |
Cover
Summary: | 本研究の目的は,座位到達動作において到達させる対象物の性質や被験者との位置関係が姿勢調節に及ぼす影響を検討することである。対象は健常若年者(以下,健常者)12名と脳卒中片麻痺患者(以下,片麻痺患者)10名であった。被験者には,椅子座位で位置や高さが自由に調節可能なテーブル上に置かれたコップへ手を伸ばし,持ち上げるという到達動作課題を行わせた。到達動作課題は,重量,軽量という性質の異なった二種類の対象物と正中位,内転位,外転位という三つの配置条件を組み合わせ,合計6種類の課題を設定した。健常者では,配置条件の違いで到達時間,垂直床反力,そして筋電活動量に有意な影響を認め,片麻痺患者では垂直床反力と健側三角筋以外の筋電活動量に有意な影響を認めた。しかし,性質の違いについては,両者ともに有意な影響を認めなかった。健常者と片麻痺患者との比較では,すべての課題において到達時間,大腿直筋および大腿二頭筋の筋電活動量に有意差を認めた。片麻痺患者では,到達動作において健常者とは異なる姿勢調節が行われていることが明らかとなった。 |
---|---|
ISSN: | 0289-3770 2189-602X |
DOI: | 10.15063/rigaku.kj00003131677 |