上肢優位の疼痛とfasciculationのみを呈した抗VGKC複合体抗体陽性例の1例

症例は21歳男性である.1週間前から右上肢の激しい痛みとぴくぴくする感覚が出現した.筋強直やミオキミア,発汗過多はなく,右前腕にfasciculationをみとめた.針筋電図では右上腕二頭筋,右長橈側手根伸筋にfibrillation potentialのみをみとめた.抗てんかん薬の内服により症状は改善したが左上肢と両側大腿にも激痛が出現し,血清抗VGKC複合体抗体が陽性であったため,免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)とステロイドパルス療法をおこなったところ疼痛は軽減した.本例はIsaacs症候群とくらべミオキミアや有痛性筋攣縮などの運動症状に乏しく,上肢優位の疼痛が主体である点が特徴的で...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 52; no. 9; pp. 677 - 680
Main Authors 原, 賢寿, 渡邊, 修, 石黒, 英明, 柴野, 健
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2012
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.52.677

Cover

More Information
Summary:症例は21歳男性である.1週間前から右上肢の激しい痛みとぴくぴくする感覚が出現した.筋強直やミオキミア,発汗過多はなく,右前腕にfasciculationをみとめた.針筋電図では右上腕二頭筋,右長橈側手根伸筋にfibrillation potentialのみをみとめた.抗てんかん薬の内服により症状は改善したが左上肢と両側大腿にも激痛が出現し,血清抗VGKC複合体抗体が陽性であったため,免疫グロブリン大量静注療法(IVIG)とステロイドパルス療法をおこなったところ疼痛は軽減した.本例はIsaacs症候群とくらべミオキミアや有痛性筋攣縮などの運動症状に乏しく,上肢優位の疼痛が主体である点が特徴的であった.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.52.677