培地成分に由来する抱合胆汁酸の培地中への持ち込みと細菌の脱抱合能による遊離胆汁酸の生成

通常培地成分として用いるペプトン (Bacto Peptone, Difco) に, 胆汁末が由来と考えられる抱合型胆汁酸を主とする胆汁酸の混入が認められた。ペプトン濃度を2%とした場合, 培地中の総胆汁酸濃度は200μM以上となり, 通常の胆汁酸代謝実験で培地に添加する胆汁酸濃度より高くなった。特に細菌の7α-デヒドロキシラーゼ活性を調べる実験では, 脱抱合によって生じた2次胆汁酸を, 7α-デヒドロキシラーゼ活性による1次胆汁酸からの生成と見誤る恐れがあった。胆汁酸は菌の増殖ばかりではなく, 様々な代謝活性に影響を与える可能性があるのでこのような培地成分を用いるときは注意を要する。...

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Published in日本細菌学雑誌 Vol. 51; no. 4; pp. 1043 - 1047
Main Authors 諸富, 正己, 境谷, 有希子, 佐藤, 美紀子, 高橋, 琢也, 牧野, 孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本細菌学会 1996
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Summary:通常培地成分として用いるペプトン (Bacto Peptone, Difco) に, 胆汁末が由来と考えられる抱合型胆汁酸を主とする胆汁酸の混入が認められた。ペプトン濃度を2%とした場合, 培地中の総胆汁酸濃度は200μM以上となり, 通常の胆汁酸代謝実験で培地に添加する胆汁酸濃度より高くなった。特に細菌の7α-デヒドロキシラーゼ活性を調べる実験では, 脱抱合によって生じた2次胆汁酸を, 7α-デヒドロキシラーゼ活性による1次胆汁酸からの生成と見誤る恐れがあった。胆汁酸は菌の増殖ばかりではなく, 様々な代謝活性に影響を与える可能性があるのでこのような培地成分を用いるときは注意を要する。
ISSN:0021-4930
1882-4110
DOI:10.3412/jsb.51.1043