脳卒中の感情失禁に対するβ-遮断薬の効果について

脳卒中患者の感情失禁に対する新しい治療法として感情失禁を有する脳卒中患者23例に種々のβ-遮断薬を試み,著明改善26.1%,改善26.1%,やや改善13.0%(なんらかの改善65.2%)が得られた.その効果は性,年齢,病巣部位による差はなかった.血液脳関門通過性やβ1,2-受容体選択性の異なるプロプラノロールとアテノロールは同程度の効果を示し,ラベタロール,メトプロロールでも各1例の改善がみられたことから,その効果はβ1-作動系の遮断を介するもので,血液脳関門の破綻も推測された.またβ-遮断薬で改善を認めた6例で薬剤を中止したところ,5例はほぼ1週間以内に感情失禁の悪化を認めた. 以上の結果か...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 31; no. 3; pp. 173 - 177
Main Authors 竹迫, 賢一, 川平, 和美, 日吉, 俊紀, 川津, 学, 上土橋, 浩, 東郷, 伸一, 田中, 信行
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 社団法人 日本リハビリテーション医学会 1994
日本リハビリテーション医学会
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Summary:脳卒中患者の感情失禁に対する新しい治療法として感情失禁を有する脳卒中患者23例に種々のβ-遮断薬を試み,著明改善26.1%,改善26.1%,やや改善13.0%(なんらかの改善65.2%)が得られた.その効果は性,年齢,病巣部位による差はなかった.血液脳関門通過性やβ1,2-受容体選択性の異なるプロプラノロールとアテノロールは同程度の効果を示し,ラベタロール,メトプロロールでも各1例の改善がみられたことから,その効果はβ1-作動系の遮断を介するもので,血液脳関門の破綻も推測された.またβ-遮断薬で改善を認めた6例で薬剤を中止したところ,5例はほぼ1週間以内に感情失禁の悪化を認めた. 以上の結果から,β-遮断薬は感情失禁に対し明らかに有用な薬剤と思われた.
ISSN:0034-351X
1880-778X
DOI:10.2490/jjrm1963.31.173