HIV脳症5例の臨床的特徴と経過
HIV脳症5症例を報告した.1996年から2005年11月の間に名古屋医療センターを受診したHIV感染症458症例(うちAIDSは127症例)を対象とした.HIV脳症と診断した症例はいずれも高度の免疫不全状態にあり,他の日和見感染症を3症例にみとめた.4症例はHIV感染症が判明したのとほぼ同時期にHIV脳症と診断された.5症例ともHIVに対して抗ウイルス療法は未施行であった.HAARTを施行することで全例で症状の改善をみとめ,死亡はみとめなかった.精神科介入を要したり1例を除いて社会復帰できないなど,行動障害を呈したHIV脳症の機能予後は不良であり,HAARTのみの治療効果は不十分と考えられた...
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Published in | 臨床神経学 Vol. 48; no. 3; pp. 173 - 178 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本神経学会
2008
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Subjects | |
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ISSN | 0009-918X 1882-0654 |
DOI | 10.5692/clinicalneurol.48.173 |
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Summary: | HIV脳症5症例を報告した.1996年から2005年11月の間に名古屋医療センターを受診したHIV感染症458症例(うちAIDSは127症例)を対象とした.HIV脳症と診断した症例はいずれも高度の免疫不全状態にあり,他の日和見感染症を3症例にみとめた.4症例はHIV感染症が判明したのとほぼ同時期にHIV脳症と診断された.5症例ともHIVに対して抗ウイルス療法は未施行であった.HAARTを施行することで全例で症状の改善をみとめ,死亡はみとめなかった.精神科介入を要したり1例を除いて社会復帰できないなど,行動障害を呈したHIV脳症の機能予後は不良であり,HAARTのみの治療効果は不十分と考えられた. |
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ISSN: | 0009-918X 1882-0654 |
DOI: | 10.5692/clinicalneurol.48.173 |