異常小角X線散乱によるpH応答性両親媒性ブロック共重合体ミセルの構造解析

本研究では,ポリ(メタクリル酸)-block-ポリ(メタクリル酸2-Brブロモエチル) (PMAA-b-PBrEMA)ミセルのpH応答性について,BrのK吸収端近傍での異常小角X線散乱(ASAXS)により検討した.ASAXSの解析結果から,PMAA-b-PBrEMAミセルの疎水性コアの半径が酸性条件下では16 nmであるのに対し,塩基性条件下では6.5 nmとなることがわかった.また,会合数が酸性条件から塩基性条件下への変化に伴い260から20へと低下し,PMAA-b-PBrEMAミセルのコア–コロナ界面における分子鎖の数密度が,酸性条件と比較して塩基性条件で低くなることがわかった.ここから,...

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Published in高分子論文集 Vol. 76; no. 1; pp. 68 - 73
Main Authors 木下, 雅貴, 釘本, 大資, 森本, 康介, 伊藤, 和之, 坪井, 健吾, 金沢, 諭史, 秋葉, 勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 25.01.2019
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Summary:本研究では,ポリ(メタクリル酸)-block-ポリ(メタクリル酸2-Brブロモエチル) (PMAA-b-PBrEMA)ミセルのpH応答性について,BrのK吸収端近傍での異常小角X線散乱(ASAXS)により検討した.ASAXSの解析結果から,PMAA-b-PBrEMAミセルの疎水性コアの半径が酸性条件下では16 nmであるのに対し,塩基性条件下では6.5 nmとなることがわかった.また,会合数が酸性条件から塩基性条件下への変化に伴い260から20へと低下し,PMAA-b-PBrEMAミセルのコア–コロナ界面における分子鎖の数密度が,酸性条件と比較して塩基性条件で低くなることがわかった.ここから,PMAA-b-PBrEMAミセルは,塩基性条件下においてPMAA鎖間の静電反発によりコア–コロナ界面の曲率の増大と界面における分子鎖密度の低下が生じることが明らかになった.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.2018-0046