橈骨遠位端骨折治療における上肢外固定は,同側肩関節位置感覚に影響する

日常の骨折診療において外固定期間を要するため骨折部の隣接関節の拘縮を経験することが多い.しかし,その傾向やリスクは明らかではない.橈骨遠位端骨折が同側の肩関節位置感覚に与える影響を調査し,骨折外固定治療が同側隣接関節の位置感覚に与える影響と拘縮の関連を検討する.対象は,当院へ受診され橈骨遠位端骨折と診断された女性患者6名とした.受傷時から手術まで手関節のシーネ固定と肩関節までの三角筋固定をした.手術は,全例観血的整復固定術を施行した.術後は,三角布とシーネ固定をした.受傷して平均16.4日に位置感覚と肩関節可動域を測定した.結果は,橈骨遠位端骨折後の患肢肩関節位置感覚は健側に比較し外旋30,4...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 78; no. 3; pp. 249 - 253
Main Authors 岡本, 圭司, 篠原, 大地, 泉﨑, 雅彦, 新井, 昌幸, 西中, 直也, 神崎, 浩二, 安田, 知弘, 中村, 弘毅, 三邊, 武幸, 皆川, 裕人, 有馬, 敏彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2018
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.78.249

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Summary:日常の骨折診療において外固定期間を要するため骨折部の隣接関節の拘縮を経験することが多い.しかし,その傾向やリスクは明らかではない.橈骨遠位端骨折が同側の肩関節位置感覚に与える影響を調査し,骨折外固定治療が同側隣接関節の位置感覚に与える影響と拘縮の関連を検討する.対象は,当院へ受診され橈骨遠位端骨折と診断された女性患者6名とした.受傷時から手術まで手関節のシーネ固定と肩関節までの三角筋固定をした.手術は,全例観血的整復固定術を施行した.術後は,三角布とシーネ固定をした.受傷して平均16.4日に位置感覚と肩関節可動域を測定した.結果は,橈骨遠位端骨折後の患肢肩関節位置感覚は健側に比較し外旋30,45度における誤認角度が大きかった.また,同様に外旋方向の拘縮を認めた.肩関節内旋位で固定した結果として肩関節内旋筋(肩甲下筋)に,Proskeらのflexors are contracted (conditioning flexed)と同様の状態となり位置感覚に影響を与えていると考えられた.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.78.249