ハイリスク児分娩と正常児分娩の母親の母性意識の違い

【背景】NICUに入院したハイリスク児に対する虐待が多い実態がある.産後NICUに入院した児の母親 (以下ハイリスク児の母親) の母性意識と対児感情を正常児分娩 (以下正常分娩) をした母親と比較した研究はまだ少ない.【目的】本研究は, ハイリスク児の母親の順調な母性意識形成のための援助の手がかりを得ることを目的とした.【対象と方法】対象は, ハイリスク児の母親55名と産褥5日目の正常分娩の母親85名であった.調査方法は, ハイリスク児の母親には生後6日~12日後に, 正常分娩の母親には出産後5日目に母性意識調査・対児感情調査・日本版STAIを1セットにした自記式による調査票を手渡し, 1両日...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 52; no. 1; pp. 5 - 11
Main Authors 常盤, 洋子, 下田, あい子, 横田, 正夫, 今関, 節子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.01.2002
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ISSN1343-2826
1881-1191
DOI10.2974/kmj.52.5

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Summary:【背景】NICUに入院したハイリスク児に対する虐待が多い実態がある.産後NICUに入院した児の母親 (以下ハイリスク児の母親) の母性意識と対児感情を正常児分娩 (以下正常分娩) をした母親と比較した研究はまだ少ない.【目的】本研究は, ハイリスク児の母親の順調な母性意識形成のための援助の手がかりを得ることを目的とした.【対象と方法】対象は, ハイリスク児の母親55名と産褥5日目の正常分娩の母親85名であった.調査方法は, ハイリスク児の母親には生後6日~12日後に, 正常分娩の母親には出産後5日目に母性意識調査・対児感情調査・日本版STAIを1セットにした自記式による調査票を手渡し, 1両日で回収した。分析は, 母性意識, 対児感情, 状態・特性不安の得点の比較をt検定により行った.ハイリスク児の母親と正常分娩の母親それぞれの変数におけるピアソンの相関係数を計算した.【結果】ハイリスク児の母親は, 正常分娩の母親と比べ, 同じレベルで, 母性意識を発達させ, 妊娠・出産の満足を有しているといえる.しかし, 高いレベルの状態不安があり, 個別な児に対応した能力の獲得に取り組まざるを得ない状況におかれ, 周りを見ている余裕がない.つまり外的交流性による交互作用を感じ取れない孤立状況が伺えた.【結語】ハイリスク児の母親に対しては偶発危機に対応した看護の必要性が示唆された.
ISSN:1343-2826
1881-1191
DOI:10.2974/kmj.52.5