ダイアライザーの性能評価における牛血液使用の問題点

ダイアライザーを性能評価する場合, 本来人血液を用いるのが望ましい。しかし種々の事情から, 水溶液や牛血液が用いられている。特に牛血液は, 血中の因子が性能に与える影響を調べるのに使用されているが, 牛血液と人血液の物性には違いがあり, 牛血液を用いた場合の性能が人血液の場合に必ずしも適用できない。そこで, ダイアライザーの溶質除去能に影響を与える最大の要因である赤血球膜の溶質透過性に注目し, 牛血液での除去能が人血液にも適用できるかどうかを調べた。この結果, 尿素については両者の赤血球膜透過性は極めて良く, 平衡分配比もほぼ等しい。しかし, クレアチニンでは牛血液での赤血球膜移動抵抗が大きい...

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Published in人工臓器 Vol. 13; no. 2; pp. 664 - 667
Main Authors 新井, 信之, 竹沢, 真吾, 酒井, 清孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1984
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Summary:ダイアライザーを性能評価する場合, 本来人血液を用いるのが望ましい。しかし種々の事情から, 水溶液や牛血液が用いられている。特に牛血液は, 血中の因子が性能に与える影響を調べるのに使用されているが, 牛血液と人血液の物性には違いがあり, 牛血液を用いた場合の性能が人血液の場合に必ずしも適用できない。そこで, ダイアライザーの溶質除去能に影響を与える最大の要因である赤血球膜の溶質透過性に注目し, 牛血液での除去能が人血液にも適用できるかどうかを調べた。この結果, 尿素については両者の赤血球膜透過性は極めて良く, 平衡分配比もほぼ等しい。しかし, クレアチニンでは牛血液での赤血球膜移動抵抗が大きいため, 人血液の場合より高いクリアランスを示してしまう。また, 平衡分配比も異なるので, 牛血液でのダイアライザーの除去性能が人血液の場合には適用できないことがわかった。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.13.664