糖尿病専門外来から学ぶ耐糖能異常患者における疾患スクリーニングの意義
目的:糖尿病患者の増加に伴って耐糖能異常を有する人間ドック受診者の増加が予想される.糖尿病専門外来でのメディカルチェックを通じて発見された糖尿病合併症以外の合併疾患の傾向を抽出することにより,今後の人間ドック受診者に対して耐糖能異常を前提とした疾患スクリーニングの必要性を検討した.方法:2006年1月-12月の間に高血糖を主訴に糖尿病専門外来を受診した2型糖尿病患者643名について,一般理学所見の診察とスクリーニング検査を行ない発見された糖尿病三大合併症以外の合併疾患の傾向を抽出した.結果:胆がん症例は22名(3.4%),うち59.1%が初診で見出された.がん以外では,筋萎縮性側索硬化症,パー...
Saved in:
Published in | 人間ドック (Ningen Dock) Vol. 22; no. 3; pp. 352 - 358 |
---|---|
Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益社団法人 日本人間ドック学会
2007
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1021 2186-5027 |
DOI | 10.11320/ningendock2005.22.352 |
Cover
Summary: | 目的:糖尿病患者の増加に伴って耐糖能異常を有する人間ドック受診者の増加が予想される.糖尿病専門外来でのメディカルチェックを通じて発見された糖尿病合併症以外の合併疾患の傾向を抽出することにより,今後の人間ドック受診者に対して耐糖能異常を前提とした疾患スクリーニングの必要性を検討した.方法:2006年1月-12月の間に高血糖を主訴に糖尿病専門外来を受診した2型糖尿病患者643名について,一般理学所見の診察とスクリーニング検査を行ない発見された糖尿病三大合併症以外の合併疾患の傾向を抽出した.結果:胆がん症例は22名(3.4%),うち59.1%が初診で見出された.がん以外では,筋萎縮性側索硬化症,パーキンソン病,脊髄小脳変性症,ムチン産生性嚢胞性膵腫瘍,慢性関節リウマチ,肺結核2名,腎炎,下垂体髄膜腫,バイパス術適応の内頚動脈狭窄症,アスベスト関連胸膜肥厚,手術適応の子宮筋腫,腎不全3名が含まれていた.結論:耐糖能異常を有する患者の爆発的な増加傾向,という母集団の質的変化を踏まえて,人間ドックや健康診断においては糖尿病三大合併症だけでなく,悪性腫瘍や感染症も多く,全身疾患の存在も増加する点に注意してスクリーニングする必要がある.また基礎疾患として糖尿病がある場合には,糖尿病専門医としての立場からは,日常の診療だけでなく積極的に人間ドックや健康診断を受診することを勧め,早期に合併する全身疾患を見出すことが望まれる. |
---|---|
ISSN: | 1880-1021 2186-5027 |
DOI: | 10.11320/ningendock2005.22.352 |