乗鞍高原におけるクビワコウモリ出産哺育個体群の29年間のねぐら利用の変化と個体数変動

長野県松本市鈴蘭の乗鞍高原においてクビワコウモリEptesicus japonensisの出産哺育個体群の調査を1990年から2018年の29年間実施した.確認されたクビワコウモリの昼間のねぐらは,長期間ねぐらとして利用されたものがほとんどであった.ねぐら利用の変更の原因として,捕食者が原因の場合とねぐらの消失および改修工事による場合が確認された.このねぐら変更に伴い,この後に確認された出産哺育群の個体数にも変化が見られた.5月下旬~6月上旬の出産哺育群形成開始時期の年変動幅は最大19日,8月下旬~9月の出産哺育群解消時期の年変動幅は最大40日あった.6月中旬~7月中旬に確認できる出産哺育群に...

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Published in哺乳類科学 Vol. 61; no. 2; pp. 205 - 219
Main Authors 山本, 輝正, 峰下, 耕, 中村, 桃子, 西岡, 真智子, 本多, 宣仁, 神谷, 郊美, 水野, 昌彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本哺乳類学会 2021
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Summary:長野県松本市鈴蘭の乗鞍高原においてクビワコウモリEptesicus japonensisの出産哺育個体群の調査を1990年から2018年の29年間実施した.確認されたクビワコウモリの昼間のねぐらは,長期間ねぐらとして利用されたものがほとんどであった.ねぐら利用の変更の原因として,捕食者が原因の場合とねぐらの消失および改修工事による場合が確認された.このねぐら変更に伴い,この後に確認された出産哺育群の個体数にも変化が見られた.5月下旬~6月上旬の出産哺育群形成開始時期の年変動幅は最大19日,8月下旬~9月の出産哺育群解消時期の年変動幅は最大40日あった.6月中旬~7月中旬に確認できる出産哺育群に参加する総個体数,および7月下旬~8月上旬に確認できる各ねぐらでの最大確認個体数においても年変動が確認された.29年間の乗鞍高原のクビワコウモリ出産哺育群の個体数変動は,77~347頭の範囲で平均180.5頭±75.74頭(SD)であった.
ISSN:0385-437X
1881-526X
DOI:10.11238/mammalianscience.61.205