イヤホン式小型生体情報センサの開発と精度に関する検討

災害現場において人の生体情報を確認するべく,小型で少ない体表面積でも測定できる医療機器の重要性が高まりつつある.われわれは,それを可能とする生体情報モニタとして,イヤホン式生体情報センサの開発に取り組んできた.このイヤホン式センサは,データ処理プログラムを用いて心圧信号を解析することで心拍数を測定することが出来る.耳本来の機能は外部環境から音を聞くことにあるが,このように,外耳道を通じて圧力・振動を測定することで生体情報を取得することも可能である.すなわち,人の外耳道を密閉し鼓膜および外耳道から発生する微小な圧力変化を測定することにより,約2~20Hzの範囲の外耳道内心圧信号として心拍圧を得る...

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Published in昭和学士会雑誌 Vol. 74; no. 1; pp. 60 - 66
Main Authors 千葉, 敏雄, 北角, 権太郎, 山下, 紘正, 佐藤, 智夫, 田山, 愛, 土岐, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2014
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ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.74.60

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Summary:災害現場において人の生体情報を確認するべく,小型で少ない体表面積でも測定できる医療機器の重要性が高まりつつある.われわれは,それを可能とする生体情報モニタとして,イヤホン式生体情報センサの開発に取り組んできた.このイヤホン式センサは,データ処理プログラムを用いて心圧信号を解析することで心拍数を測定することが出来る.耳本来の機能は外部環境から音を聞くことにあるが,このように,外耳道を通じて圧力・振動を測定することで生体情報を取得することも可能である.すなわち,人の外耳道を密閉し鼓膜および外耳道から発生する微小な圧力変化を測定することにより,約2~20Hzの範囲の外耳道内心圧信号として心拍圧を得ることが可能となる.今回,家兎を用いた実験で,このイヤホン式センサと既存の生体情報モニタから得られるデータとの相関を検討した.家兎は体重約3kgの日本白色雑雌を用いた.全身麻酔下に既存の生体情報モニタとイヤホン式センサを家兎に装着し,酸素濃度を10分毎に5%ずつ低下させることにより進行性の低酸素ストレス環境を作成し,双方のセンサによる心拍数測定値を比較した.その結果,イヤホン式生体情報センサから得られた心拍数の計測値は,既存の生体情報モニタの心拍数と有意な相関があることが確認された.また,低酸素状態でも既存の生体情報センサと同様の変化が認められた.今後,測定の確実性を高めることにより,イヤホン式小型生体情報センサは,生体情報の新しい有用な取得手段として期待される.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.74.60