男女スポーツ選手における下肢の筋形態が無酸素性パワーに及ぼす影響

「I. 緒言」 男女には身体の形態的及び生殖機能といった生物学的な差が存在している. 例えば, 女性は男子に対して筋量の占める割合が低く, 脂肪量の占める割合が高い. このような形態的要素の性差は, 身体活動や運動能力にも直接的に影響を及ぼすものと考えられる. さらに, ヒトの筋形態及び機能的特性には性差が存在し, スポーツのパフォーマンスに大きな影響を与えている1). 男女における筋形態の性差について検討した報告2)によれば, 部位別の筋量は男性に対して女性は大腿部で63%, 下腿部では75%であり, 上肢及び体幹は約50%に相当し, 骨格筋量の性差は下肢よりも上肢や体幹において著しく認めら...

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Published in日本生理人類学会誌 Vol. 16; no. 3; pp. 141 - 151
Main Authors 角田, 直也, 田中, 重陽
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本生理人類学会 2011
Japan Society of Physiological Anthropology
Subjects
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ISSN1342-3215
2432-0986
DOI10.20718/jjpa.16.3_141

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Summary:「I. 緒言」 男女には身体の形態的及び生殖機能といった生物学的な差が存在している. 例えば, 女性は男子に対して筋量の占める割合が低く, 脂肪量の占める割合が高い. このような形態的要素の性差は, 身体活動や運動能力にも直接的に影響を及ぼすものと考えられる. さらに, ヒトの筋形態及び機能的特性には性差が存在し, スポーツのパフォーマンスに大きな影響を与えている1). 男女における筋形態の性差について検討した報告2)によれば, 部位別の筋量は男性に対して女性は大腿部で63%, 下腿部では75%であり, 上肢及び体幹は約50%に相当し, 骨格筋量の性差は下肢よりも上肢や体幹において著しく認められることが指摘されている. また, 筋が発揮する張力は基本的に筋の横断面積に比例3)することは男女ともに共通であることから, 筋力の性差は筋の量的な違いによる影響が大きい4). 従って, 運動者によって発揮された力は骨格筋量の大小によって影響を受け, 結果として走, 跳, 投動作等といった運動能力や瞬発的なパワー発揮の優劣にも影響を及ぼすものと考えられる.
ISSN:1342-3215
2432-0986
DOI:10.20718/jjpa.16.3_141