慢性副鼻腔炎の病態分類
「はじめに」副鼻腔は頭蓋構成骨に形成される含気腔で鼻腔を取り囲むように存在し, 前頭洞, 前・後篩骨洞, 上顎洞, 蝶形骨洞を合わせた容量はおおむね成人で80ml程度である. 全ての副鼻腔は鼻腔に交通しており, 組織学的には鼻腔粘膜と同じ多列線毛円柱上皮であるが, 生体における副鼻腔の機能についてはよく分かっていない. 主に上気道感染を契機に細菌やウイルスによって生じる副鼻腔の炎症が12週以上持続するものを慢性副鼻腔炎と呼び, 蓄膿症として広く一般にも知られている. 一方, アレルギー疾患の増加とともに従来の細菌感染を主体とした慢性副鼻腔炎とは異なるタイプの好酸球性副鼻腔炎が2001年に難治性...
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Published in | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報 Vol. 125; no. 11; pp. 1600 - 1603 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
20.11.2022
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 |
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ISSN | 2436-5793 2436-5866 |
DOI | 10.3950/jibiinkotokeibu.125.11_1600 |
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Summary: | 「はじめに」副鼻腔は頭蓋構成骨に形成される含気腔で鼻腔を取り囲むように存在し, 前頭洞, 前・後篩骨洞, 上顎洞, 蝶形骨洞を合わせた容量はおおむね成人で80ml程度である. 全ての副鼻腔は鼻腔に交通しており, 組織学的には鼻腔粘膜と同じ多列線毛円柱上皮であるが, 生体における副鼻腔の機能についてはよく分かっていない. 主に上気道感染を契機に細菌やウイルスによって生じる副鼻腔の炎症が12週以上持続するものを慢性副鼻腔炎と呼び, 蓄膿症として広く一般にも知られている. 一方, アレルギー疾患の増加とともに従来の細菌感染を主体とした慢性副鼻腔炎とは異なるタイプの好酸球性副鼻腔炎が2001年に難治性の慢性副鼻腔炎として提唱され, 現在も患者数が増加している. そのほか, 真菌や齲歯が原因で起きる慢性副鼻腔炎もあり, それぞれの特徴を正しく理解することが正確な診断と正しい治療法の選択に重要である. 本稿では, 専攻医が理解すべき慢性副鼻腔炎の病態分類とそれぞれの特徴について概説する. |
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ISSN: | 2436-5793 2436-5866 |
DOI: | 10.3950/jibiinkotokeibu.125.11_1600 |