単心室型人工心臓による全身循環維持法の研究

機能を停止した自然心に代って, 1つの血液ポンプ, 単心室型人工心臓(SAH)による全身循環維持に関し検討を加え, 以下の知見を得た。(1) 右心系をバイパスさせ, 左房―大動脈間に挿入したSAHは, 上流圧を高く保つことによる圧差と吸み上げ効果により, 全身循環を良好に維持し得た。(2) この場合右房圧は, 急性期では14~16mmHg, 慢性期では10~14mmHgで十分であった。(3) 肺血管抵抗は正常である必要があり, 肺血管抵抗と体重の積が8000dynes・sec・cm-5・kg以下であれば, 良好な循環を維持し得た。(4) 又左房からの吸引に際し, 肺血管をcollapseさせな...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in人工臓器 Vol. 13; no. 1; pp. 109 - 112
Main Authors 高野, 久輝, 妙中, 義之, 中谷, 武嗣, 梅津, 光生, 松田, 武久, 田中, 隆, 岩田, 博夫, 林, 紘三郎, 高谷, 節雄, 中村, 孝夫, 関, 淳二, 阿久津, 哲造
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本人工臓器学会 1984
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:機能を停止した自然心に代って, 1つの血液ポンプ, 単心室型人工心臓(SAH)による全身循環維持に関し検討を加え, 以下の知見を得た。(1) 右心系をバイパスさせ, 左房―大動脈間に挿入したSAHは, 上流圧を高く保つことによる圧差と吸み上げ効果により, 全身循環を良好に維持し得た。(2) この場合右房圧は, 急性期では14~16mmHg, 慢性期では10~14mmHgで十分であった。(3) 肺血管抵抗は正常である必要があり, 肺血管抵抗と体重の積が8000dynes・sec・cm-5・kg以下であれば, 良好な循環を維持し得た。(4) 又左房からの吸引に際し, 肺血管をcollapseさせないことが望ましく, 左房圧を正の値に保つべきである。(5) このような条件下では, 流量は100ml/kg/min前後, 動脈圧は80mmHg以上を維持し, ヤギはケージ内での生活を普通に行ない得た。(6) 本方式は1つの血液ポンプなので複雑な制御を必要としないし, 又全装置を小型化し得るので, 肺血管抵抗が正常なる患者に対しては, 有力な循環維持法と考える。
ISSN:0300-0818
1883-6097
DOI:10.11392/jsao1972.13.109