Press through package誤飲による食道潰瘍穿孔から膿胸を発症した1例

今回われわれはpress through package(PTP)誤飲による食道穿孔に膿胸を合併した1例を経験したので報告する.症例は79歳,男性.心窩部痛と発熱を主訴に他院を受診.当初原因が特定できず,抗生剤投与による治療が開始されたが,呼吸困難と皮下気腫が出現してきたため精査加療目的で当院に転院となった.胸部CTにて左膿胸,縦隔炎と診断され,縦隔気腫を伴っていたことから膿胸の原因として食道損傷の可能性を考え,上部消化管内視鏡を行った.歯列より35cmの胸部食道にPTPが嵌頓し,深い潰瘍を形成していた.以上より,本人の自覚のないままPTPを誤飲し発見が遅れた結果,食道穿孔から膿胸を合併したも...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 71; no. 12; pp. 3088 - 3092
Main Authors 辻本, 和雄, 伊藤, 憲雄, 竹内, 信道, 大野, 康成, 野竹, 剛, 中山, 中
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2010
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.71.3088

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Summary:今回われわれはpress through package(PTP)誤飲による食道穿孔に膿胸を合併した1例を経験したので報告する.症例は79歳,男性.心窩部痛と発熱を主訴に他院を受診.当初原因が特定できず,抗生剤投与による治療が開始されたが,呼吸困難と皮下気腫が出現してきたため精査加療目的で当院に転院となった.胸部CTにて左膿胸,縦隔炎と診断され,縦隔気腫を伴っていたことから膿胸の原因として食道損傷の可能性を考え,上部消化管内視鏡を行った.歯列より35cmの胸部食道にPTPが嵌頓し,深い潰瘍を形成していた.以上より,本人の自覚のないままPTPを誤飲し発見が遅れた結果,食道穿孔から膿胸を合併したものと考えられた.まず内視鏡的にPTPを摘出し,その後,胸腔ドレナージと洗浄を継続したことで膿胸は軽快し,穿孔部は自然閉鎖した.誤飲の自覚が無い場合PTP異物症は診断が困難である.本症例のように診断が遅れると重篤な合併症をきたすことがあるので注意を要する.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.71.3088