中学校で発生した集団有機リン中毒
本学会関連の一施設から,某中学校において集団有機リン中毒発生の報告があり,患者を受け入れた地域の4医療施設を対象に調査した。 7月下旬,学校関係者がアリの駆除のため,有機リン系殺虫剤メチダチオン40%製剤の原液を,10時から11時の間に校舎近くのアリの巣に散布した。付近の教室内にガスが流入し,中学生たちが自覚症状を訴えて,昼ごろから16名が4病院に搬送された。 患者の訴えた症状は,「頭痛」13名,「吐気・嘔吐」11名,「めまい」4名などであった。うち1名は2回嘔吐した。コリンエステラーゼ活性値,瞳孔径および対光反射は,いずれも正常範囲内であった。3名が経過観察のため入院したが全員治癒し後遺...
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Published in | 日本農村医学会雑誌 Vol. 61; no. 2; pp. 109 - 112 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
31.07.2012
日本農村医学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0468-2513 1349-7421 |
DOI | 10.2185/jjrm.61.109 |
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Summary: | 本学会関連の一施設から,某中学校において集団有機リン中毒発生の報告があり,患者を受け入れた地域の4医療施設を対象に調査した。 7月下旬,学校関係者がアリの駆除のため,有機リン系殺虫剤メチダチオン40%製剤の原液を,10時から11時の間に校舎近くのアリの巣に散布した。付近の教室内にガスが流入し,中学生たちが自覚症状を訴えて,昼ごろから16名が4病院に搬送された。 患者の訴えた症状は,「頭痛」13名,「吐気・嘔吐」11名,「めまい」4名などであった。うち1名は2回嘔吐した。コリンエステラーゼ活性値,瞳孔径および対光反射は,いずれも正常範囲内であった。3名が経過観察のため入院したが全員治癒し後遺症は見られず,軽症に止まったものと考えられる。 しかし,劇物である有機リン殺虫剤の原液を,そのまま中学校の教室付近で散布したことは,厳に戒められるべきであり再発防止が図られる必要がある。 |
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ISSN: | 0468-2513 1349-7421 |
DOI: | 10.2185/jjrm.61.109 |