男性乳腺Pagetoid癌の1例

男性乳癌は比較的稀な疾患であり,全乳癌の0.5~1%と言われている.今回われわれは男性乳腺Pagetoid癌の1例を経験したので報告する.症例は78歳,男性.右乳腺の乳頭部の発赤,びらんを主訴とし精査のため紹介,受診となった.初診時右乳腺EC領域に20×17mmの大きさで,弾性硬の腫瘤を触知したが,圧痛や乳頭異常分泌は認めなかった.超音波検査所見では,不整形,境界やや不明瞭で悪性が否定できず,穿刺吸引細胞診検査で鑑別困難,針組織診検査で浸潤性乳管癌と診断された.男性乳癌として胸筋温存の非定型的乳房切除術が施行された.組織学的所見では充実腺管癌であった.乳頭皮膚直下まで癌浸潤を認め,発赤,びらん...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 70; no. 10; pp. 2965 - 2968
Main Authors 上原, 剛, 春日, 好雄, 村松, 沙織, 梶山, 明日美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2009
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.70.2965

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Summary:男性乳癌は比較的稀な疾患であり,全乳癌の0.5~1%と言われている.今回われわれは男性乳腺Pagetoid癌の1例を経験したので報告する.症例は78歳,男性.右乳腺の乳頭部の発赤,びらんを主訴とし精査のため紹介,受診となった.初診時右乳腺EC領域に20×17mmの大きさで,弾性硬の腫瘤を触知したが,圧痛や乳頭異常分泌は認めなかった.超音波検査所見では,不整形,境界やや不明瞭で悪性が否定できず,穿刺吸引細胞診検査で鑑別困難,針組織診検査で浸潤性乳管癌と診断された.男性乳癌として胸筋温存の非定型的乳房切除術が施行された.組織学的所見では充実腺管癌であった.乳頭皮膚直下まで癌浸潤を認め,発赤,びらんの原因と考えられ,Pagetoid癌と診断された.腋窩リンパ節転移,遠隔転移は認めず,また女性ホルモンレセプターが陽性であったため,内分泌療法が選択され,現在経過観察中であるが,再発は認めていない.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.70.2965